映画『めぐみへの誓い』 拉致被害者を救わねばならない

拉致問題
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映画『めぐみへの誓い』(野伏翔監督)について最初に言っておきたいのは、この映画はすべての日本人が見るべき映画でありながら、上映館数並びに上映日数が少な過ぎるということです。

映画館数の追加のみならず、学校など教育機関での上映・鑑賞を強く求めるともに、まだ見ていない方がいらっしゃれば是非見て頂きたいと願います。

「主権とは何か」を問う映画

この映画の投げかけるテーマは極めて明快です。

それは「主権者意識を失った国家に住む国民がどのような悲惨な思いをするのか」というものです。

「主権者教育」に取り組む学校であれば、必ず教材として用いるべきです。

例えば「交通量の増えた道路で信号機を付けなければ、こんな悲惨な事故が起こりますよ」というくらい明快な問題。それが今日まで、長きにわたり解決できない。

これこそが「正当な国家主権である自国の防衛を他国に委ねた国家の辿る道」なのだということです。

それは、令和2年末に公開された映画『日本独立』(伊藤俊也監督)のテーマと通底するものです。

戦後「騙し騙しやってきた」ものが、遂に「誰の目にも騙しきれなくなってきた」ことを意味しています。(それを非常に早い段階で危惧していたのが三島由紀夫でしょう)

俳優陣の熱演と名演

映画『めぐみへの誓い』の完成度は極めて上質です。

クラウドファウンディングに製作費を頼り、それでも資金不足で「一時は完成そのものが危ぶまれた作品」であるとは信じられないほどです。

それはまず俳優さん達の熱演のよるところが大きいと思います。

原田大二郎氏、大鶴義丹氏のような、すでに演技力に定評ある方々の渾身の迫力ある演技ももちろんですが、横田めぐみさん役を演じた菜月さんに、私は瞠目しました。

多少のネタバレになりますが、彼女が「党への忠誠を日本語で言え」と命令され、当惑するシーンは、この映画の中でも一番泣けるシーンの一つです。

同時に、彼女にこのような事を強いる北朝鮮当局への怒りがこみ上げ、思わずスクリーンに向かい「ふざけるな」の叫び声を上げそうになります。

この難しいシーンを、強い内的共感を込め、情感豊かに演じ切った菜月さんには称賛の声を送るとともに、今後も応援していきたい、と思いました。

これを遺作に選んだ小松政夫さん

そして小松政夫さんにも触れないわけには行きません。小松さんにとっては、この作品が遺作となってしまいましたが、滋味あふれる演技を披露しています。

長年、芸能界の第一線で活動された小松さんが生涯最後に選んだ作品が『めぐみへの誓い』なのです。

ご自分の体調をどこまで知っていらっしゃったのかわかりませんが、ある程度は理解されていたのではないでしょうか。

映画の中の「これで最後にして下さいよ」という台詞は、ご本人の逝去と符牒が合いすぎて妙な気持になります。

微力だけど無力ではない

言うまでもないことですが、この作品がこれだけ強い訴求力を持つのは、俳優さんたちの名演をまとめ、作品として昇華させた野伏翔監督の「強い思い」からくるものです。

曲がりなりにも拉致被害者救出活動の手伝いをしてきたわれわれにとっては、「本当に良く細かいエピソードを調べているな」と驚かされます。

映画『めぐみへの誓い』は、私達の覚悟が問われる作品です。極端に言えば、後は「救出の実行」しかないのです。

主権国家である以上、その国の国民が誘拐されて「取り返さない」という選択肢だけは無いと思います。

各々立場があり、出来ることできないこと様々でしょう。しかし自分に出来ることがあるならば、やらなければならないのです。

「微力だけど無力ではない」

この言葉を心の支えにし、皆さんとともに、これからも拉致被害者救出活動に取り組みたいと思います。

石原志乃武

(いしはら・しのぶ)昭和34年生、福岡在住。心育研究家。現在の知識偏重の教育に警鐘を鳴らし、心を育てる教育(心育)の確立を目指す。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会幹事。福岡黎明社会員。

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