3月閉館の「中洲大洋映画劇場」再建を願う 福岡の老舗映画館

映画
筆者撮影
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中洲大洋映画劇場(中洲大洋)は福岡市の繁華街・中洲大通りの入口に位置する老舗映画館だ。昭和21年4月に創業し、令和6年3月に閉館・取り壊しとなる。建物の老朽化が原因で、再開は未定だ。

大型商業施設のシネコン(cinema complex=多数のスクリーンを併設する映画館)が隆盛となる中、中洲大洋はよく耐えた。福岡県内で昭和の面影を残す唯一の映画館だ。(北九州に小倉昭和館があったが、焼失した)

いま思えば、私が生まれて初めて映画館へ行ったのも、おそらく中洲大洋だった。ものごころつくかつかないかの頃、両親に連れられてスピルバーグ監督の『E.T.』を観た。不気味で愛嬌のあるエイリアン人形を買って貰ったことを覚えている。

中洲大洋の記録によると、『E.T.』を上映したのは昭和58年の年末から翌59年の5月まで。動員数は163,644名で、いまだに同館歴代トップだ。

大学では映画サークルに入ったのだが、そのサークルの先輩たちが中洲大洋でアルバイトをしていた。そのため特別に映写室を見せて貰ったこともある。当時はまだフィルム映写だった。サークル活動の一貫で、集団で観に行ったこともある。そのとき観たのは『ハリー・ポッター』だった。

その後も何度となく、中洲大洋には足を運んだ。シネコンにも行ったが、中洲大洋でしか上映されない新作も多かった。豊島圭介監督『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』や、伊藤俊也監督『日本独立』を観たのも中洲大洋だ。

近年は名作のリバイバル上映も多く、先日は今敏監督のアニメ『パーフェクトブルー』を大型スクリーンで堪能できた。同作は平成9年公開作品だが、いまスクリーンで観ても新作と遜色はない。(9月28日まで同館で上映)

近年はネット配信サービスの普及に伴い、映像作品の鑑賞方法が多様化している。映画公開と配信を同時に行う例もある。家庭用プロジェクターも安くなった。そういう中で映画館を維持することは困難だと想像できる。

それでも中洲大洋には再建して欲しい。そう願うのは贅沢だろうか? せめて閉館するまでに、できるだけ足を運びたいと思う。

中洲大洋映画劇場 公式サイト www.nakasu-taiyo.co.jp

本山貴春

(もとやま・たかはる)選報日本編集主幹。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会事務局長。福岡大法学部卒(法学士)。CATV会社員を経て、平成23年に福岡市議選へ無所属で立候補するも落選(1,901票)。その際、日本初のネット選挙運動を展開して書類送検され、不起訴=無罪となった。平成29年、PR会社を起業設立。著作『日本独立論:われらはいかにして戦うべきか?』『恋闕のシンギュラリティ』『水戸黄門時空漫遊記』(いずれもAmazon kindle)。

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