護国神社に祀られている神様とは? 参拝の際に心がけるべきこと

人生観
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日本には実に多くの神社が存在する。お正月だけでなく、夏祭りや秋祭りで参拝するという人も多い。

神社に参拝する際、「どんな神様が祀られているのか」よりも「どんなご利益があるのか」を気にして参拝する人も増えている。例えば受験合格、恋愛成就、子宝祈願、交通安全などだ。

あるいは神頼みはせずとも、「お祭りが楽しいから」という理由で神社に行く人もいるだろう。

護国神社の「特別な神様」

夏のお祭りとして8月15日前後に全国の護国神社で行われるのが「みたま祭り」である。

護国神社はほとんどの都道府県に1社以上あり、街の中心部や城跡付近に建立されていることもあって、お祭りには多くの参拝客が訪れる。

そんな護国神社は、実は数ある神社の中でも「特殊な神様」を祀っているのだ。

護国神社の御祭神は、ひとことで言えば「戦死者」である。

国家のために殉難した人の霊を「英霊」と呼ぶが、この「英霊」が全国の護国神社の主宰神なのだ。基本的には、その地方出身の大日本帝国陸海軍戦死者、殉職した自衛官、警察官、消防士などが祀られている。

また、意外に知られていないのが「維新の志士」だ。例えば京都霊山護国神社には坂本龍馬や中岡慎太郎なども祀られており、境内にお墓もある。

護国神社の前身は「招魂社」といい、幕末明治にかけて維新のために戦い死んだ人々の霊を祀ることから始まった。全国各地にあった招魂社が護国神社に一斉に改称されたのは意外に遅く、昭和14年になってからだ。

明治以降、わが国は多くの戦争を戦ってきた。日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、大東亜戦争などだ。

護国神社に祀られている神様(英霊)は、それらの戦争で日本国を守るために命を投げ出した。そして死んでもなお、神様として日本を守ってくれている。まさに「国を護る」神社なのだ。

もともとわが国には、死者を神様として祀る文化が存在する。維新の志士だけで考えても、吉田松陰を祀る松陰神社、西郷隆盛を祀る南洲神社などがある。

ただ護国神社のように、時代を経るに従って「御祭神が増え続ける神社」というのはさすがに珍しい。

護国神社の元締め=靖国神社

ちなみに、東京の九段にある「靖国神社」は全国の護国神社の元締めのような存在で、日本すべての英霊を祀っている。

毎年、8月15日に閣僚が参拝したかどうかでニュースにもなるので、聞いたことがあるという人も多いだろう。

靖国神社には大東亜戦争敗戦後、占領軍によって不当に処刑された政治家や軍人も祀られている。当時の日本人は占領軍による処刑も「国のために戦った犠牲者」とみなした。

実は靖国神社や護国神社は、日本が近代化するのに不可欠な慰霊施設だった。

江戸時代、日本は多くの国(藩)に別れており、それぞれの国に封建領主(藩主)が存在した。

幕末、欧米列強の侵略という脅威に晒された日本は、早急に統一国家を作り、一致団結して侵略に立ち向かわねばならなかった。そのため封建領主を廃止して中央集権にし、武士だけではなく国民全体から軍人・兵士を募る必要があった。

当時、武士には「領主のために命を捧げて戦う」という道徳観があったが、農民や町民には無い。

欧州に始まる近代国家は、すべての国民が国のために戦い、その上で政治に参加するという「国民国家」という体制を作り上げた。その代表例がフランス革命後のナポレオン軍だ。

一般庶民を含め、国を守るために団結したナポレオン軍は非常に強かった。やがて、世界の多くの国が国民国家の形態を取るようになる。民主主義は、国民が戦争に参加することと表裏一体だった。

戦争において国のために戦い亡くなった将兵を顕彰することは、世界の国民国家において同様に行われている。わが国では、伝統的な神道の風習と、近代的な英霊顕彰の儀礼が結合したというわけだ。

靖国神社や護国神社に祀られている神々は、必ずしも超人的な存在ではなく、私たちと同じように一般庶民として生きていた人のほうが多い。

そんな英霊に向かって手を合わせるときは、ご利益を願うのではなく、「私たちもこの日本の平和と独立を守るために頑張ります」と誓うのがふさわしいといえるだろう。

選報日本/編集主幹・本山貴春

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