令和6年の通常国会が開会しました。ところが、開会日に行われるはずの首相の施政方針演説は、いわゆる裏金問題の集中審議をおえてからという異例の事態となりました。
私は、これはもう、首相は改憲発議を本気でやる気であるとあると感じました。それでなくとも大きな争議を引き起こす可能性が高い案件です。騒ぎを出来るだけ押させてから、審議に臨みたいと思うのは当然でしょう。
そして、果せるかな、施政方針演説において、岸田総理は「自民党総裁として、最大限の努力をしたい」と発言されました。
あえて自民党総裁として申し上げれば、自分の総裁任期中に改正を実現したいとの思いに変わりはなく、議論を前進させるべく、最大限努力したいと考えています。今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります。
第二百十三回国会における岸田内閣総理大臣施政方針演説
いよいよ、この国初めての国民投票が始まるのです。そして、私はこのことについては一つの思いがあります。それは、改憲発議の前に、衆議院をシングルイシューで解散すること。私はこれが、日本の国民投票へ向けての必須条件だと思っているのです。
しかしながら、この考え方は2016年当時、殆ど賛同を得ることは出来ませんでした。その理由は、すでに自由民主党は改憲を政策重点目標に掲げ何度も選挙を行っており、ここでのシングルイシューによる選挙は二重選挙になるというものです。
なるほど、理に適った考えだと思います。では、このような考え方はどうでしょうか。物事には交互作用があります。今、改憲賛成の議員が三分の二以上の勢力を維持しているのは、政策総体として三分の二以上の支持を受けたのであって、改憲だけを取り出して検討すれば、三分の二に届いていない可能性があるのではないかという考えです。
極端な例を言いましょう。例えば、政権与党がプロパガンダではなく、責任を持って消費税廃止を確約し、これに憲法改正を抱き合わせで選挙公約としたらどうなるでしょうか。憲法改正は後、国民投票で否決すれば良い、それより消費税廃止を行わせようとなり、大幅な議席増とはならないでしょうか。
そして、議席数の三分の二を越えたとして改憲賛成派の議員が憲法改正を発議しようとした場合、その行為は全面的な賛同が得られるでしょうか。私は心許なく思います。
憲法は、立法の根拠となる法律であり、特別の重みをもった法律です。だからこそ、この国では通常の法と異なる、極めて高いハードルをその改正に関して課している訳です。ただ、この辺りのことは私のような素人が指摘するまでも無いことでしょう。
私が指摘したいのは、憲法とはその国のあり方を規定すると共に、国家精神を文章化したものであるということです。当然そこには、その国家を作り上げた国民の思い・願い・理想といった情動、心に関わる部分が内包されています。
そして、心の問題に必要なことは、理詰めの説得だけでは不十分で、情理を受け入れた納得、理外の理とでも言うべきものが必要なのです。
改憲を支持する政党の人数が改憲要件を超えました。私たちは、これが国民の皆様方の声と受け取り、改憲を発議したいと思いますが、それでよろしいでしょうかと医者のインフォームドコンセント(説明を受け納得したうえでの同意)さながらの国民の納得を目指す、丁寧な議論が必要だと思います。
改憲シングルイシューによる衆議院解散はその手立ての必須項目だと思います。
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