「パチンコは北朝鮮の資金源だ」とよく言われる。私もそうだろうと思っているが、それを日本全体の世論にするのは難しい。第一、その証拠を掴むには政治を動かさねばならない。証拠がない限り、陰謀論とレッテル貼りされるのが関の山である。
「パチンコは不正に遠隔操作されている」ということもよく聞く話だ。これを根拠に、パチンコを廃絶させようという反パチンコ派もいる。しかしこれは、関係者から「パチンコの仕組みを分かってない」と反論されて終わりだ。
不正がなくても儲かるパチンコ店
パチンコは顧客が支払うお金で、店舗の広告宣伝費、設備投資費、電気代、水道光熱費、人件費などの営業費用を賄っている。いわばそれは顧客の「損失」である。
パチンコには「プロ客」と「一般客」があり、その両者の違いは、パチンコの仕組みを知っているか否かである。同じパチンコ台でも、プロ客が打つと儲かり、一般客が打つと損をする。
ギャンブルというのは、投資金額よりも回収金額のほうが大きくなれば儲かる仕組みである。パチンコも全く同じ仕組みだ。パチンコのプロ客は他人よりも投資金額を少なくし、回収金額を多くする。そして収支を予想し、最終的にプラスにすることで生計を立てている。
パチンコ店を支えるのは「釘の調整」
簡単に説明すると、投資は1000円当たりの「抽選回数」を指標にする。そして、その1ラウンドあたりに出る「パチンコ玉の数」が回収の指標となる。
パチンコには100分の1や200分の1など、抽選確率があらかじめ設定されている。従って、仮に100回打てば1回は必ず当たる(玉が出る)仕組みとはなっている。一番の肝となるのは、100回抽選するのにどれだけの投資が必要かということなのだが、この部分がパチンコ台には書いてない。
このパチンコで儲かる指標となる「当たる確率」は、パチンコ台の「釘」を調整することで変えることができる。この釘の調整は、本来は違法なのだが、多くのパチンコ店はこれによって経営を成り立たせている。
パチプロの「確率論」
プロ客は実際にパチンコ玉を投入してみて、何回抽選できるかというのを実験する。
しかし、たった1000円くらいでは、そのパチンコ台の投資効率はわからない。パチンコ玉はずっと一定の角度で放出できるわけではなく、温度など、人間の目には見えないわずかな作用でランダムに放出され、釘の間を通るパターンが無数に増えるためだ。
結局、玉の動きは確率論でしか判断できない。従って、同じパチンコ台に80万円くらい投資しないと、正確な投資効率はわからない。
その結果、最初の1000円では40回入賞口に玉が入って抽選が引けたのに、次には9回しか入らなかったという現象が発生する。1日の前半に1万円投入したら1400回しか玉が入らなかったのに、後半1万円では2000回も玉が入ったというケースも普通に起きる。
搾取される一般客
つまり、台の正確な投資効率を測定するには丸4日かかる。メーカーですら、そんなことに時間を避けない。店側としても、「釘師」の長年の勘でコントロールするしかないとうことだ。
その台は1ラウンドあたり何玉回収できるのか、あるいは何ラウンドすれば当たりが出るのか、平均何回当たりが出るのかといった指標により、回収金額がわかるわけだが、これも少し釘を調整しただけで変わってしまう。
そこでプロ客は、蓄積されたデータをもとにその回収額を判断して、収支を計算しているというわけだ。
これを確実にするには、人を雇ってでも集団で打つ必要がある。仮に時給850円で人を雇うとして日当1万円以上。それをペイするには1万5千円は回収せねばならない。裏を返せば、一般客はそれだけパチンコ店とプロ客に搾取されているというわけだ。
高部義則/パチンコ廃絶運動関係者。パチンコを中心としたギャンブルの世界に深入りし、その闇を知って、ギャンブル廃絶運動を決意するに至る。パチンコについては、釘師や店員、メーカーよりも恐ろしさを熟知している。
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