レバノン危機は「世界最悪の経済崩壊」 国際支援も困難

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現在、レバノンは深刻な経済危機に直面している。2021年10月9日には、燃料不足ゆえに発電所が操業停止となってしまった。

その他、レバノンには多くの問題が混在している。

約一年前には、レバノンの首都ベイルートにて大規模爆発が発生し、約200人が死亡した。その後、内閣が総辞職を表明。それ以降、政治的に空白状態であり、これがレバノン経済の悪化に拍車をかけている。

レバノンの通貨であるレバノン・ポンド(LP)が下落する理由として、レバノンの対外債務累積が挙げられる。レバノン政府は財政再建に取り組むも、債務の返済ができないまま迷走しているのだ。

さらに、レバノンにおける経済危機悪化の理由として、周辺国の問題もある。例えばシリアとレバノンは国境で接している。シリアは2011年から紛争をしており、これがレバノンにも悪影響を及ぼしている。

シリア、ヨルダン、イラクなど、周辺国における対立や利害関係によって同地域で物流が滞っており、これらもレバノンにおける財政危機改善の障害になっているといえる。

レバノンはシリアやイスラエルと国境を接する要衝に位置し、さらにイランはシーア派組織ヒズボラを通じて影響力を高めてきた。イランはレバノンやシリア、イラクのシーア派組織を支援している。

レバノンには大きく3つの宗教があるとされ、フランスやアメリカと友好なキリスト教、サウジアラビアと友好なスンニ派、イラン・シリアと友好なシーア派が存在する。そして、それらが国内で対立を繰り返しているのだ。

レバノンの首都ベイルートは、1970年代まで金融都市として栄えていたが、80年代には内戦により荒廃し、イスラエルによる軍事侵攻も受けた。

宗教的にもアンバランスな状況にあり、さらに外貨建て国債の累積による財政難が、通貨安とインフレを引き起こしている。さらに、シリア内戦で生じた難民がレバノンへも流入している。

ユニセフ(UNICEF)の報告(2021年)では、レバノン危機を「世界最悪の経済崩壊」としており、物価の急騰、失業率の増加、子どもたちの健康や教育への影響も示唆されている。

また、①77%の世帯が十分な食料を買うためのお金をもっていないこと、②15%の家庭が子どもの教育をストップさせてしまった、などと報告している。

その他、精神的な問題や病院などのヘルスケアサービス、貧困問題も報告されている。貧困のスパイラルも止めなくてはならない。

経済の立て直しには、政治の安定が必要不可欠である。あらゆる面でレバノンは不安定な国であり、元旧宗主国であるフランスは「レバノンに人道支援が必要だ」と述べている。

ハイパーインフレや内乱、飢餓などのリスクもあり、国家の崩壊を招かないよう人道支援や対策が必須だが、地理的・宗教的複雑さから、国際支援が一層困難になっている。

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