令和5年10月27日、池袋暴走事故を巡る民事裁判で、東京地裁は飯塚幸三受刑者とその保険会社に対し約1億4000万円の賠償を命じる判決を言い渡した。その後、原告である遺族に対し殺害予告が寄せられる事態となっている。
東池袋自動車暴走死傷事故(池袋暴走事故)は平成31年4月19日に発生。運転していたのは飯塚幸三氏(当時87歳)で、同氏は元通産省技官で瑞宝重光章受章者だった。飯塚氏の過失(アクセルとブレーキの踏み間違え)により暴走した車は松永拓也さんの妻(当時31歳)と長女(当時3歳)を死に追いやった他、9人が負傷した。
同事故の刑事裁判について、東京地裁は令和3年9月2日に禁錮5年の実刑判決を言い渡し、被告側が上告しなかったため判決が確定、飯塚氏は東京拘置所へ収監された。この実刑確定により飯塚受刑者は瑞宝重光章を剥奪(褫奪)されている。
飯塚受刑者は事故前に医師から運転を禁止されており、刑事裁判において「車に異常があった」と主張し、自己の過失を認めなかった。東京地裁の裁判官も判決にあたり「深い反省の念は認められない」と述べている。
その後、遺族側は飯塚受刑者とその保険会社を相手どり民事訴訟を提起。1億7000万円あまりの損害賠償を求め、被告側は請求棄却を求めていた。
28日、松永拓也さんは自身のSNSを更新。「緊急のご報告」と題して、「誤った認識で批判、誹謗中傷、また言葉に出来ないほどの、それ以上のご連絡が来ており、身の危険を感じております」と投稿した。さらに翌29日には以下の通り更新している。
正確に書きます。
X@ma_nariko
警察に対し、私への殺害予告が匿名で来ました。
「歳のいった飯塚にお金を払わせるのはおかしいので、近いうち松永を殺す。」
という旨の予告だそうです。
もう一度書きます。
民事裁判の損害賠償は飯塚氏が支払うのではなく、飯塚氏が加入していた損害保険会社が支払います。
そもそも飯塚受刑者は事故発生当時、自賠責・任意保険に加入していた。そのため、民事裁判が確定すれば賠償金は保険会社から支払われることになり、遺族側と飯塚受刑者本人との金銭のやり取りが直接行われることはない。
27日の東京地裁判決に対し、今のところ被告側は対応を明らかにしていない。高裁へ上告すれば、さらに裁判が続くことになる。
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