令和5年を振り返り、令和6年を展望する

安全保障
首相官邸(筆者撮影)
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令和6年1月1日16時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする地震があり、最大震度7を記録しました。この原稿を執筆している時点で余震は続き、津波警報も発令されています。当該地域の皆様の無事をお祈りしつつ、政府による早急な救命救援を希望します。

さて、文字通り令和6年は波乱の幕開けとなりました。元日の今日は昨年を振り返りつつ、本年の日本を展望したいと思います。

令和5年、政界に激震

令和5年は統一地方選の年でした。この選挙は全国的に日本維新の会が躍進した印象です。国民民主党も新人を多数当選させていますので、総論としては「第三極が躍進」したと言っても過言ではないと思います。「ネオ55年体制」と評される中で、与党と野党第一党には厳しい評価が下されました。

岸田政権は当初「6月解散」も囁かれましたが、ついに年内解散はありませんでした。岸田政権下で30年ぶりの賃上げが達成されましたが、化石燃料を中心とする物価高騰が続き、賃上げ効果が相殺されている状況で、内閣支持率は下降の一途を辿っております。

数年続いたコロナ禍が概ね収束し、国民の経済活動は旧に復しつつあります。しかし岸田政権は「増税政権」とみなされており、事実、社会保険料など税の名を用いない増税が進んでいることは間違いありません。

国民民主党は臨時国会で改めて「トリガー条項凍結解除」によるガソリン減税を首相に直談判し、そのことと引き換えに補正予算に賛成しました。同党は令和5年に代表選挙を行い、与党に対する提案路線を争いましたが、現在の路線が承認され、結果的に一部反対派が離党する騒ぎとなりました。

岸田首相は国民民主党など第三極野党の提案路線に理解を示していましたが、自民党派閥の裏金問題で窮地に立たされています。裏金問題で主に槍玉に上がっているのは安倍派(清和政策研究会)ですが、野党も政治資金パーティー開催を自粛するなど、政界全体に激震が走っています。

令和6年、激変起こるか

令和6年、最も注目すべきは衆院選と自民総裁選です。衆院任期は来年までありますが、年内に解散する可能性は高いと思われます。それが自民総裁選の前か後かで、かなり話は違ってきます。岸田首相としては総裁選前に解散し、総裁選後も続投できるよう手を打つでしょう。

政界関係者の間で流れている憶測としては、通常国会で来年度予算案を可決した直後に衆院解散、総選挙を4月に行うという日程です。しかしこれ以上政権支持率が下がれば、自民党内から「岸田おろし」が始まるかも知れません。

焦点は、裏金問題で国会議員の逮捕者が出るかどうかでしょう。検察も今回は決死の覚悟ですから、国会議員の逮捕は視野に入れている筈です。逮捕者が出れば、政権のダメージは甚大になります。ことは安倍派だけの問題に収まらなくなり、岸田首相は影響力を保持するために禅譲(つまり内閣総辞職と後継指名)を考えるかも知れません。

しかし元日の北陸地震による被害が甚大となれば、そのような禅譲は難しくなります。解散のタイミングもさらに読みにくくなりました。

一方で、注目すべきは野党再編です。裏金問題で自民党が弱体化すれば、次の衆院選でも政権交代も可能性が高まることになります。しかし現状の野党の枠組みでは小選挙区で食い合うことになりますから、本気で政権交代を目指すのであれば、解散前後に野党再編(統合)があるかも知れません。

現在の主な野党は立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、日本共産党、社会民主党です。立民は日共との選挙協力を進めていますが、勢いがあるのは維新と国民民主です。立民はこの二党とも連携を望んでいますが、日共を切らない限り、この二党が立民に協力することはありません。

政権交代か憲法改正か

岸田政権、ひいては自公連立政権が命脈を保つには、国民の政治不信を払拭する大胆な政治改革とともに、憲法改正の国会発議を断行する必要があるでしょう。

具体的には緊急事態条項の創設が最も現実的です。緊急事態条項については既に昨年、維新と国民民主が共同案を策定しています。同案であれば通常国会中の国会発議が可能です。国民投票と総選挙を同時に行えば、自民党が政権を失陥することもないでしょう。

もし改憲の国会発議ができず、野党側の再編が成功すれば、政権交代の可能性も十分出てきます。野党側は明確な政権構想を国民に示すことが求められます。

一方で、国民有権者の側も政治への関わり方が問われているといえます。年々、投票率は低下しています。よく言われることですが「政治に無関心でも、無関係ではいられない」のです。憲法改正などは、まさに国民的議論を巻き起こすべき課題です。

内政においては高齢化に伴い現役世代の負担が過大になっており、少子化に拍車をかけています。外交においては、ロシア・中国・北朝鮮などによる安全保障上の脅威が高まっています。特に台湾有事は時間の問題です。早急に防衛力を高める必要があり、そのためにも経済力強化が欠かせません。

私たち一人ひとりが、政治を政治家に任せるのではなく、当事者として向き合う必要があります。選報日本はその一助となるべく、新しい視点を提供して参る所存です。

本山貴春

(もとやま・たかはる)選報日本編集主幹。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会事務局長。福岡大法学部卒(法学士)。CATV会社員を経て、平成23年に福岡市議選へ無所属で立候補するも落選(1,901票)。その際、日本初のネット選挙運動を展開して書類送検され、不起訴=無罪となった。平成29年、PR会社を起業設立。著作『日本独立論:われらはいかにして戦うべきか?』『恋闕のシンギュラリティ』『水戸黄門時空漫遊記』(いずれもAmazon kindle)。

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