海外からの投資を呼び込むことで、国を豊かにする逆転の発想とは

「国力」とは何であろうか。

国力の要素は、軍事のような「ハードパワー」、経済、文化、教育といった「ソフトパワー」に大別される。例えばアメリカは、そのハード・ソフト両面に於ける規模の大きさから、「超大国」と言われる。

本稿では国力、なかでも「国富」について考えてみたい。

一般的に国富とは、日本の政府、企業、個人の保有する資産から、負債を差し引いた金額(国全体の正味資産)を指す。

貸借対照表(バランスシート)の観点からも、資産=負債+資本という等式が成り立つとおり、国富とは企業活動に於ける「資本」である。また、資本=資産-負債という等式も同様に成り立つため、資本は「純資産」と呼ばれることもある。

<対外資産負債残高推移> (単位:10億円)

年度 対外資産残高 対外負債残高 対外純資産残高
H26(2014) 945,273 578,416 366,856
H27(2015) 948,729 609,466 339,263
H28(2016) 997,771 648,658 349,112

【出典:財務省データ】

データを見ると、対外資産残高、対外負債残高ともに対前年増となっている。ここでは対外負債残高に注目してみると、同残高が増加した理由は、非居住者による本邦資産の取得超が挙げられる。これは即ち、海外投資家の日本株保有比率の増加を意味する。

<対外負債残高 株式投資ファンド持分推移>(単位:10億円)

H26(2014) H27(2015) H28(2016)
169,144 186,919 181,53

【出典:財務省データ】

【出典:東京証券取引所データ】

実際、海外投資家の日本株保有比率は、年々増加しており、対照的に、日本人個人投資家の日本株保有比率は減少傾向にある。

平成28年こそ、株式投資ファンド持分は前年比減となっているものの、2000年前後を境に両者の比率は逆転し、国の歳出総額と一般会計税収、医療介護制度の給付と財源の関係のように「ワニの口」の様子を呈するようになった(上図)。

では、海外投資家が日本株を多く保有することは何を意味するのだろうか。

確かに数字の面からすると、対外負債残高が増えるという点においては好ましいとは言えないかもしれない。

しかし、見方を変えると、それだけ海外投資家が日本企業に関心を持っていることの表れでもある。外国人投資家は投資に際し、企業の収益度、独自のビジネスモデル、技術力の高さを重視していると指摘する識者もいる。
 
イギリス古典派経済学の大家アダム・スミスが『国富論』として知られる『諸国民の富の性質と原因の研究』を世に問うたのは1776年のことであった。

資本主義社会の構造について、労働、資本から、ローマ帝国没落後の都市にまで言及した同著は、日本のみならず、世界中に大きな影響を与えた。

国富の前後を入れ替えると、「富国」になる。我々の働き方が大きく変わろうとしている今、改めてどうすれば、国を富ませることができるのか、我々一人ひとりが熟考するときである。

安部有樹(あべ・ゆうき)/昭和53年生まれ。福岡県宗像市出身。現在、外国人技能実習生を受け入れる管理団体に勤務するかたわら、社会的な問題解決のための提言を続けている。

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