外国人労働者に頼ってまで「便利すぎるサービス」を維持すべきか

仕事
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コンビニエンスストア(以下、コンビニ)は文字通り「便利」で、既に我々の生活にとって欠かせない存在となった。1年365日、24時間昼夜を問わず営業しており、今や日常生活に関する大抵のことは、コンビニで済ませることができると言っても過言ではない。

近年は従来の物品販売だけではなく、社会のニーズに対応して発展を続けている。例えば、地方自治体との災害時支援協定であるが、これは1995年に発生した阪神・淡路大震災を教訓として、災害発生時の物資調達・確保を目的としたものである。2011年の東日本大震災では、コンビニ業界の物流システムが被災者の方々に多大な貢献をした。

日本に最初のコンビニが誕生したのは1974年、イトーヨーカ堂がセブンイレブン1号店を開店したことに始まる。それから40年余り、現在、店舗数は55,310を数えるまでに拡大した(2018年1月時点。日本フランチャイズチェーン協会調べ)。

私はある時、コンビニ業界の「ビッグ2」であるセブンイレブンとローソンの経営戦略の差異が、両社の業績に与える影響を比較分析したことがあった。

この分析を通じて分かったことは、双方とも、その収入の少なくない金額を加盟店からの収入に依存しているということである。特にセブンイレブンはその数値が約8割5分にも上る。(下表)

収入に占める内訳の割合比較


【出典:各社有価証券報告書を元に筆者算出】

では、収入源である加盟店そのものの経営状況はどのようなものであるのか。これを理解するには、本部と加盟店のフランチャイズ(FC)契約の在り方を理解する必要がある。

いくつか例を挙げると、高いロイヤルティ利率、本部からの一方的な新規サービス導入、深夜時間帯の営業、廃棄品の費用負担など、加盟店の負担となってしまっている要素がある。

加盟店側は店舗運営のため、これら「モノ」「カネ」の要求に応える一方、肝心要の「ヒト」、つまり人件費は抑制しなければならない状況に置かれている。

コンビニ各店舗の従業員は、店長を除き大半がアルバイトだ。

コンビニでの仕事は職種として、「販売・サービス系」に大別される。リクルート・ジョブズが行ったアルバイト・パート募集時平均時給調査(2018年1月)によると、福岡を含む九州における「販売・サービス」系の平均時給は865円であり、全体平均よりも低い金額となっている。(下図)

全国平均時給


【出典:リクルートジョブズ】

目下、コンビニ経営における一つの大きな課題は、他の業界同様、人手不足である。人手不足を解消するには、働く人々の待遇改善が必要だ。しかし先に述べたように、経営上むしろ人件費を抑えなければならない現実を前にそれも、容易なことではない。

そこで戦力になっているのが、外国人である。今や、コンビニで外国人が店員として働いている姿を見ることは珍しくなくなった。それどころか、早朝、深夜など時間帯によっては、彼らだけで対応していることも少なくない。

コンビニで働く外国籍の方々の多くは、日本語学校や専門学校で学びながら、学費や生活費を工面する学生たちであることが多い。アルバイト情報誌でもコンビニスタッフの募集条件として、他の項目と併せて「日本語が話せる方」と併記されていることが一般的である。

また、昨年末には上述の日本フランチャイズチェーン協会が、外国人技能実習制度の職種に職種名を「店舗運営管理」としてコンビニ運営業務を追加するよう国(厚生労働省)に申請する方向であることが報じられた。

先に追加された「介護職」同様、「建前」は何であれ、発言権の強い業界団体の意向は追加職種として反映される傾向にある。

コンビニ運営の観点からすれば、先ずは本部と各フランチャイズ加盟店の関係を見直すことが必要である。そうすることで、上述の負担を少しでも解消し、「ヒト」に対する支出を増やすことができるようにもなろう。

しかし、より根本的な課題として、我々が「あまりにも」便利な生活を見直す時期を迎えている。

繰り返しになるが、確かにコンビニは「便利」である。1年365日、24時間営業しており、今や日常生活に関する大抵のことはコンビニで済ませることができると言っても過言ではない。

これはコンビニに限ったことではないかもしれないが、私は必ずしも、「便利即ち幸せ」ではない。自分にとって何か便利な「コト」「モノ」が、誰かの、何かの犠牲の上に成り立っているとするならば、果たして、それが持続可能で、享受し続けてよいものなのか。

便利な生活を享受する我々は、(その便利な生活の)見えない部分にも思いを致すことが必要だ。

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