令和5年10月1日から開始される消費税インボイス制度を巡り、反対運動の一部が加熱している。9月25日に東京都内で行われた街頭集会では登壇した国民民主所属議員に対し「帰れ」コールが起こり、SNSでは維新幹部に対して「ちんちくりん」との中傷が他党幹部から投げつけられた。
国民民主・濱口参院議員に「帰れ」コール
25日に首相官邸前と議員会館前で開催されたインボイス導入反対集会には、反対派の各党所属議員が参加。立民の泉健太代表は「(インボイスは)多くの害あって一理なし」と断じ、日共の志位和夫委員長は「インボイス導入は消費税増税へのレールだ」と批判した。
異変が起こったのはその直後だった。国民民主の濱口誠参院議員が登壇すると、集会をライブ配信していたれいわ新選組所属のなかおフミヒト昭島市議会議員(東京都)が「与党がきた」と発言。同時に、周囲の参加者複数から「帰れ」コールが巻き起こったのだ。
濱口参院議員はめげずに「皆さんの声を大きな塊として政府へ届けたい」などと演説を続けていたが、その間も「ふざけんじゃないよ」などの罵声が飛び交った。演説の締めに際しても「帰れ」コールが繰り返された。濱口参院議員は元トヨタ自動車従業員で、自動車総連の組織内議員だ。
なお、国民民主党は早い段階から消費税インボイス制度に反対してきた。令和2年11月27日に同党が発表した追加経済対策には「中小・小規模事業者にとって死活問題であるインボイスの導入を凍結する」と明記している。
濱口議員の次にれ新の多ケ谷亮衆院議員が登壇すると、先ほど罵声を浴びせていた人々から歓声と拍手が巻き起こった。
26日の定例記者会見で濱口議員への「帰れ」コールについて質問を受けた国民民主の玉木雄一郎代表は、「失礼だ。そういうことをやっているからインボイスの廃止運動が進まないんじゃないか。インボイスを廃止したいのか、特定政党の拡大活動をしたいのかわからない」と怒りを露わにした。
維新・音喜多政調会長に「ちんちくりん」と差別発言
25日の反対集会に際し、維新の音喜多駿政調会長は動画で「(反対派の)言動が口汚い。過激な言動は仲間内では盛り上げるかもしれないが、中立の人たちに対しては逆効果」と批判。すると26日、れ新の大石晃子共同代表が自身のSNSに「なんやこのちんちくりんは」などと投稿した。
音喜多政調会長は大石共同代表の悪罵に対し「170cmに身長が届かなかったことは無念です。来世ではがんばりたい」などと鷹揚にコメント。すると大石共同代表は「ちんちくりん=器小さいの意味で使ってます」と弁明してみせた。
しかし、いかなる辞書にも「ちんちくりん」に「器が小さい」という語義はなく、大石共同代表の発言は他者の身体的特徴に対する差別との批判は免れない。
ちんちくりん[名・形動]
デジタル大辞泉
1 背が低いこと。また、そのさま。背の低い人をあざけっていう語。
2 背丈に比べて衣服が短すぎること。また、そのさま。つんつるてん。「—な(の)去年の服」
「解決より対決」の極左勢力
今回のインボイス反対運動を巡る残念な言動は、近年の一部極左勢力に見られる「解決より対決」の姿勢をよく表している。要するに政府与党を批判するためならネタはなんでも良く、当事者(インボイスであれば中小零細・個人事業者など)にとっての問題解決は度外視しているのだ。
このような極左勢力に日共・れ新・社民と、立民の一部議員が同調し、国会を空転させ、政治を国民生活からかけ離れたものにしてしまったと言わざるを得ない。政策的に一致する相手に「帰れ」と叫び、党幹部が差別発言で罵る態容は、とても人権派とみなすこともできない。
私もフリーランスであり、インボイス制度には反対だ。反対派のネット署名にも賛同した。しかし彼らのような口汚い連中に同調することはできない。極左過激派は政界を去るべきだろう。
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