少子化対策の決め手になるかも知れない「N分N乗方式」とは?

政治
矢田わか子前参院議員
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いま「N分N乗方式」という単語が注目を集めている。自民党の茂木敏充幹事長が衆議院の代表質問(令和5年1月25日)で言及したのがきっかけだ。

以下に、該当箇所を引用する。

第2次世界大戦後のフランスでは、少子化による国力の低下がドイツの侵略を許してしまったという反省から、ド・ゴール大統領が、家族の人数が増えれば増えるほど減税につながる「N分N乗方式」という画期的な税制を導入しました。

第211回国会における茂木敏充幹事長代表質問(自民党公式サイト)

茂木幹事長は少子化対策としてフランスの取り組みを紹介しつつ、児童手当の所得制限撤廃などを政府に求めた。

「N分N乗方式」とは、所得税を計算する際、現状であれば単純に個人の所得に応じで課税額が増減するのに対し、世帯全体の所得を合算し、それを家族の人数で割って課税額を決定する「世帯課税方式」のことだ。

現状、日本の所得税は「累進課税」という方式をとっており、所得が多いほど税率が上がる。しかし「N分N乗方式」であれば、収入の少ない家族が多いほど基準となる税率が低くなり、結果的に世帯あたりの課税額が低くなる

つまり、より多くの子どもを産み育てる世帯は所得税を抑えることができるため、多子化を促し、少子化対策に資するというわけだ。

「N分N乗方式」が日本の国会で取り上げられたのは今回が初めてではない。近年では国民民主党の矢田わか子参院議員(当時)が令和4年2月25日に参院予算委員会で以下の質問を行なっていた。

(日本の少子化対策が)重層的になっていないと思います。しかも、先ほどの(支援)制度、何人扶養していても、これ所得制限のラインは一緒なんですよ。扶養者の人数は変わりません。フランスのようにN分のN乗方式、採用されるおつもりはないですか?

国会会議録検索システム

上記の質問は矢田議員が「中間層に対する子育て支援策」について政府の施策を質す中で飛び出したものだ。対応していた山際大志郎特命大臣(当時)は「子育て支援をどうすればいいかということに関しては、不断にきちんと考えていきたい」と答えるに留めていた。

矢田氏は令和4年7月の参院選で惜しくも落選し、現在は国民民主党の顧問を務めている。矢田氏の質問から約一年後の今国会で茂木氏が「N分N乗方式」に言及したことについて、自身のTwitterで「リアルで見ていて、涙が出ました。与党幹事長が言及したことは大きい!」とコメントしている。

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