秋本真利衆院議員はなぜ逮捕されたのか 風力発電を巡る収賄とは

政治
秋本真利衆院議員
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令和5年9月7日、秋本真利まさとし衆院議員(千葉9区)が東京地検特捜部に逮捕された。秋本議員は8月まで外務大臣政務官を務めていたが特捜部の強制捜査を受けてこれを辞任し、自民党を離党。逮捕容疑の収賄について秋本議員は否認している。

まだ捜査段階なので詳細は不明だが、東京地検特捜部は秋本議員が洋上風力発電事業の関係者から「賄賂わいろ」を受け取り、関係者の求める国会質問を行ったと疑っているようだ。

収賄について、これを禁じているのは刑法である。以下に関連条文を見てみよう。

(収賄、受託収賄及び事前収賄)
第百九十七条 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。

刑法

刑法における「公務員」は、文字通り国家公務員や地方公務員だけでなく、国会議員や地方議員、地方首長(知事・市長など)も含む。「請託」とは「依頼・お願い」という意味だ。

刑法における「賄賂」は金銭だけではなく、様々な利益供与がこれに含まれる。過去の判例において「遊興接待」「スポーツ観戦」「株式取得」「性行為」「事業への参加機会の提供」などが賄賂と認定されている。

秋本議員は洋上風力発電の社長から多額の資金借入を行なっていた他、共同で競走馬を購入するなどしており、これが収賄にあたると疑われている。これらの見返りとして、国会質問に洋上風力発電業界の意向を反映していたのではないか、というわけだ。

通常の犯罪では警察が容疑者を逮捕し、容疑内容を固めてから検察に送る。その上で検察が捜査し、裁判所に起訴し、地方裁、高裁、最高裁の順に審査が行われ、判決が確定する。秋本議員の場合はいきなり検察が逮捕しているので、後は裁判所へ起訴されるか否かが焦点だ。

衆院の年内解散が取り沙汰される中、秋本議員が次期衆院選に出馬できるか絶望的だ。というのも、古巣の自民党は既に千葉9区での候補者を公募しており、9月中にも決定する予定だからだ。

秋本議員は衆院選に4回当選しているが、前回は比例復活だった。小選挙区では立民現職に僅かな差で敗れている。無所属であれば公明党の支援も期待できず、比例復活もないので、落選する可能性が高い。そもそも収賄容疑での逮捕は選挙へ向けて致命傷だろう。

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