政府が進める「高度外国人材」受入制度の実態 日本経済への影響は?

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目下、政府は外国人労働者の中でも、いわゆる「高度外国人材」の受け入れを促進している。

法務省入国管理局の定義に従うと、高度外国人材の活動内容は「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」の3つに大別される。

また平成24年からは、「ポイント制」による主入国管理上の優遇措置が設けられている。ポイント制とは、それぞれの特性に応じ、学歴や年収などの項目ごとにポイントを設定、合計が一定点数に達した場合に、優遇措置が講じられるというものだ。

優遇措置の内容としては、「複合的な在留活動の許容(通常、日本で就労する外国の方は、指定された在留資格に基づいた活動のみ可能)」「在留期間5年の付与」「在留歴に係る永住許可要件の緩和(日本版高度人材グリーンカード。最短1年で永住権取得が可能に。通常は10年以上の在留期間かつ就労資格・居住資格を有し5年以上の在留が必要)」などの項目が挙げられている。

【新規入国外国人の在留資格(単位:人)】

 高度専門職経営・管理法律・会計医療研究教育
H269843274292,526
H271361,352293563,020
H282292,0914343583,042

<出典:入国管理局統計>

また国が描く「高度人材」のイメージとは「国内の資本・労働とは補完関係にあり,代替することが出来ない良質な人材」であり,「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに,日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し,我が国労働市場の効率性を高めることが期待される人材」である。

人材教育会社DISCOが、外国人社員の採用に関して行った企業調査の結果がある(2015年11月)。ここでは対象が外国人留学生に限定されてはいるが、採用したことによる社内への影響として「異文化・多様性への理解向上(71.3%)」「日本人社員への刺激・社内活性化(69%)」「グローバル化推進への理解、意識醸成(57.5%)」という内容が挙げられていた(項目は複数回答)。

日本以外の国でも、海外から労働者を受け入れている国は数多くあり、彼・彼女たちの存在が、受け入れ国の経済に寄与している事例もある。

例えばミャンマーでは、第二の都市であるヤンゴン管区内で働く外国人労働者が納めた2015年度の税収が、613億チャット(約50億円)に達していたという(2016年10月11日付、アジア経済ニュース)。

ミャンマー歳入局によると、2016年1月までの1年間のヤンゴン地域の税収入が7,000億チャット(約570億円)以上にのぼるということで(2016年4月時点)、ヤンゴン地域の税収に占める外国人労働者による税収の割合は約8.7%ということになる。

日本の税収に占める外国人労働者の税収の割合が果たしてどの程度であるのか、統計は見当たらないようであるが、外国人労働者が多く働く地域を対象にそのような調査を行ってみてはどうだろうか。

このように経済面での貢献が具体的に提示されることで、外国人労働者受け入れに関する議論も、より具体的に、また有効性のあるものになると考える。

もちろん、受け入れるための環境整備は重要である。ただ、より重要なことは、その前提としての、受け入れる我々の「心の持ち様」なのではないだろうか。

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