日本共産党との共闘は「禁断の果実」(京都6区)

京都
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次の衆議院議員選挙に立候補しないことを表明した自民党の安藤裕衆議院議員(京都6区選出)の後継候補は、元衆議院議員の清水鴻一郎氏に決まった。6区では、立憲民主党現職の山井和則氏、日本維新の会新人の中嶋秀樹氏も立候補を表明している。

地元政界関係者の間では、日本共産党を含めた野党共闘が実現するか否かが注目されている。

選挙に弱く、政党を渡り歩く清水氏

清水氏は平成5年に日本新党公認で京都府議会議員補欠選挙にて初当選。その後自民党に移籍し、平成7年に再選。平成8年には京都6区から自民党公認で衆議院議員選挙に立候補するが、候補者5人中3位で落選。平成11年に府議に復帰し、最終的には計4期務めた。

平成17年、京都3区から自民党公認で衆議院議員選挙に立候補。自民党が歴史的大勝を治めた「郵政選挙」において、清水氏は民主党の泉健太氏に僅差で敗れたものの、比例復活で初当選。

平成21年、「政権交代選挙」となった衆議院議員選挙では、泉氏にダブルスコアに近い票数で落選、比例復活もできなかった。

平成22年には、野党に転落した自民党を見限り、みんなの党に移籍。このときに自民党を除名されている。みんなの党公認で参議院選挙の比例区に立候補するが、落選。

平成24年、今度は橋下人気への便乗を狙ったのか日本維新の会に移籍し、京都6区から衆議院議員選挙に立候補。山井、安藤の両氏の後塵を拝し、一旦は比例復活もできず落選となった。平成25年、日本維新の会比例区で当選した東国原英夫氏が議員辞職したことにより繰り上げ当選となった。

平成26年の衆議院議員選挙では維新の党公認で京都3区から立候補。候補者4人中最下位で落選した。平成28年、政界引退を表明、維新の党からも離党した。

令和2年、自民党に復党し、府連顧問に就任。政界引退後は、自民党を支援していたとのこと。

清水氏は平成25年11月、京都維新塾プレオープンの講演会が開かれたときFacebookにて「(講師の松浪健太衆議院議員は)既得権益と結びつく自民でも、公務員労組に応援を受ける民主でも公務員改革は実現できないことも改めて強調されました。これは私も全く同感です。だからこそ松浪議員も私も自民党を出たのですから」と述べている。

自民党が野党に転落し、自民党が苦しい時に離党し、維新人気に陰りが見えだすと今度は、維新を離党し、「既得権益と結びつく自民」に復党するのは、信用できない政治家の最たるものである。そのため地元政界関係者からの評判は良くない。Twitterでも清水氏の擁立に否定的な意見が大勢を占めている。

6区内に掲示されている清水氏の事前ポスター

「清水氏では選挙に勝てない」の声

現在、「後期高齢者」となる75歳の清水氏。自民党では、衆議院議員選挙の比例区では73歳以上の立候補を認めない「定年制」の内規がある。そのため清水氏は小選挙区一本での勝負となった。

7月1日付けの記事では、安藤氏の後継候補となりえそうな人物の実名を4名紹介したが、いずれも外れてしまった。その4名以外にも、「タレントの坂下千里子は知名度が抜群なので短期決戦に向いている」(自民党関係者)といった声もあった。同氏の父親は宇治市議会議員を長年務め、議長経験もある坂下弘親氏である。

筆者は、清水氏の名前は一瞬浮かび上がったが、年齢を調べたところ75歳であったこと、すでに政界を引退していること、過去の国政選挙の戦績が芳しくないこと、昨年に自民党に復党したばかりであることなどを理由に後継になることはないと判断した。

清水氏は、自らを「ワンポイントリリーフ」と称しているが、「清水氏では選挙に勝てない」(自民党支持者)との声も多い。複数の政党を渡り歩いて復党したばかりであることや高齢で選挙に弱い清水氏では「陣営の士気は上がらない」(自民党関係者)のではないか。

清水は、過去に府議を4期務めているが、いずれも伏見区選挙区(当該選挙区はは京都3区)で当選しており、6区に地盤があるわけではない。「清水氏は下手をすれば、山井氏はおろか、中嶋氏の後塵を拝する可能性も十分にある。『ワンポイントリリーフ』どころか、『特攻隊』になってしまうのでは」(報道関係者)という厳しい見方まである。

立憲民主党は、「禁断の果実」に手を出すのか

立憲民主党京都府連は、連合との関係を重視しており、日本共産党との共闘については慎重な姿勢を崩していない。昨年の府連常任幹事会では、日本共産党との共闘に応じないことを正式に決定している。

そんな中、宇治市や京田辺市の無所属議員や市民活動家が呼びかけ人となって「京都6区市民連合」が結成されることとなった。8月7日に結成集会を開くという。

自民党の議席を1つでも減らすため、立憲・国民・共産、・社民・れいわの「立憲野党」に統一候補を求めるもので、維新は呼びかけの対象外としている。

すでに「立憲野党」では、山井氏に事実上一本化されているが、「野党統一候補としての擁立を『立憲野党』の各党に申し入れ、それが実現すれば統一候補を応援していく」(7月30日付け『洛タイ新報』)としている。

山井氏は、立憲公認で立候補するわけであるが、他の「立憲野党」も推薦や支持を出して、「自民党包囲網」をつくる狙いがあるようである。

一方、地元政界関係者で話題になっているのが「立憲民主党と日本共産党の選挙協力を許さない市民の会」と名乗る団体の街宣車である。6区内での目撃例が多数あり、日本共産党の渡辺和俊京都府委員長が怒りのツイートをおこなっている。

先月は主に府南部に出没。今日、党府委員会事務所周辺約100~150㍍四方(丸太町通り西行→新町通南行→竹屋町通り東行→衣棚通り北行)を何十回もグルグル。こういうのって、「威力業務妨害」とかで訴えられないのかな?正体をご存じの方は教えてください。 pic.twitter.com/IQGsZXC6u8

— 渡辺 和俊 (@kazu_w50) July 6, 2021

「声をかけようしたら、逃げるように去って行った」(6区内の地方議員)ということで、実態は謎に包まれている。複数の関係者からは、「立憲と共産の選挙協力に強く反対している●●がやっているのではないか」という憶測を呼んでいる(証拠はないので伏せ字とする)。

日本維新の会は新人の中嶋秀樹氏(冒頭写真)を擁立した。関西で人気が高い吉村洋文大阪府知事との2連ポスターを選挙区内に掲示しているほか、精力的に街頭活動をおこない、支持拡大を訴えている。

内閣支持率が低迷する中、保守層を中心とした政権批判の受け皿をなり得るため、各党は警戒している。中嶋陣営には、維新の党籍を持たない地方議員(筆者を含む)も選対に入り、選挙戦の準備を進めている。

日本共産党は、皇室制度の廃止、自衛隊・日米安保の解消、生産手段の社会化を主張しているため他の野党とは、基本方針・政策に大きな齟齬がある。野党が「左」の全体主義である日本共産党と選挙協力をおこなうことは「禁断の果実」に手を出すようなものである。絶対に容認できない。

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