歩くな、歩かせるな、エスカレーター

仕事
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私は、脱サラして1年以上経ち、わざわざ朝の通勤ラッシュ時に駅に行くことは殆ど無くなったのだが、それでも出張などスケジュールの都合で通勤時間帯にハマることが稀にある。

そうするとやはり目につくのが「エスカレーター歩行」というマナー違反だ。

前にも記事にしたが、エスカレーターは歩行を前提として設計されていない。これまで事故もあり、鉄道各社などは歩行しないよう貼紙や館内放送で呼びかけている。

「片側を空ける」こともマナー違反

しかしいくら呼びかけても、「エスカレーター歩行」は無くならない。なぜだろうか?それは端的に言えば、「エスカレーターの片側を空ける」という間違ったマナーのせいだ。

「エスカレーター歩行」がマナー違反だと知っている賢明な人々も、「エスカレーターの片側を空ける」ことがマナーだと思い込んでいる。しかし「片側を空ける」というのは、エスカレーターを歩行したい者のためだ。

昔はいざ知らず、今は「エスカレーター歩行」がマナー違反(というか危険行為)なのだから、「片側を空ける」ことはマナー違反を助長する、間接的なマナー違反である。

「片側を空ける」ことで渋滞を引き起こす

場合によっては、エスカレーターを歩く者がいないにも関わらず、2列乗れるエスカレーターに1列で乗るために、順番待ちの列ができて駅のホームに人が溢れる、といった異様な現象が起こる。

そうすると、早く移動したい人は空いている片側に向かわざるを得ず、歩きたくなくても歩かざるを得ないような強迫観念に襲われるのである。実に日本人らしい、「空気の支配」だ。

そこで私は、エスカレーターに乗るときは敢えて空いている列(通常は右側)に乗り、手すりを掴んで立ち止まるようにしている。そうすると、後続者も歩かなくて済むからだ。安全である。

「発車ベル」やめます

ところが稀に、「すみません」と後ろから声をかけて来て、無理やりすり抜けようとする者がいる。それでも私は無視して退かないのだが、強引にすり抜けて行く。その後どうするのか見ていると、駆け込み乗車である。

そんな中、以下のようなニュースが飛び込んで来た。

JR東日本は8月1日から、駅のホームにある発車ベルを押して流れるメロディーが駆け込み乗車を助長している可能性があるとして、ベルを使わず、車両に設置された車外向けのスピーカーでドアの開閉を知らせる実証実験を始める。(中略)駆け込み乗車への対応で列車が遅れるケースは日常的で、死亡事故も発生。同社は、大音量のメロディーがホームから離れた改札口付近でも聞こえてしまうことが、駆け込みを誘発しているとみて実験を決めた。

共同通信

駆け込み乗車は発車を遅らせ、ときに死亡事故も引き起こす危険行為。駅のエスカレーターを歩く人間は、駆け込み乗車をする可能性が高いと考えるべきだろう。

SNSで大激論に

私が「エスカレーター歩行」の危険性についてSNSで注意喚起していると、「歩きたい者は階段を使えということか」というようなレスポンスがあった。答えはイエス、である。

「エスカレーターは歩く」という、その人物としばらく議論が続いたのだが、整理すると以下のようなことを主張して来た。

  1. 上りのエスカレーターしかない場合、下りの階段は人が多く、そこを歩いて登ろうとすると流れに逆らうことになり危険。だから急ぐ場合はエスカレーターを歩く。
  2. エスカレーターを歩いて短縮できる時間は多くはないが、乗り遅れて次の電車を待つくらいなら歩く価値はある。
  3. 自分はエスカレーターを歩いて誰かに接触したことはないし、事故の現場を見た経験もない。一部のバカな人間が事故を起こしただけで、普通は事故にならない。
  4. 鉄道会社はあくまで「歩かないように」と呼びかけをしているだけで、歩行を禁止しているわけではない。
  5. 現代は「片側を空ける」ことがエスカレーターに乗るときのマナーである。片側を空けないことは、後続者に不快感を与える行為だ。

以上、かなり丁寧に「翻訳」したが、実際の書き込みはかなり口汚いもので正視に耐えなかった。支離滅裂で論理性に欠け、幼稚としか言いようがない。

さて上記の主張について、一つとしてまともな言い分はあるだろうか?私は全部に反論したのだが、相手は最終的に「勝手にしろ」という捨て台詞で去っていった。

ちなみに、他のユーザーからのコメントは、私の主張に賛同する内容だけだった。

余裕のある行動を

忙しい現代社会、駅の構内を少しでも早く移動したいという気持ちになることはわからぬでもない。特に朝、遅刻ギリギリで会社に向かうサラリーマンやOLも多い。

しかしそのような焦りが事故の元なのだ。たかがエスカレーター、されどエスカレーターである。移動中、早歩きになるくらいは仕方ないが、エスカレーターに乗るときぐらいは立ち止まって気持ちを落ち着けて欲しいと思う。

遅刻したって死にはしないし、遅刻したくなければ早めに家を出れば良いだけではないか。

▽(参考)「片側空け」歩行に賛否 エスカレーター、マナー記事反響 左半身まひの男性「右しか立てない」(西日本新聞)
https://www.nishinippon.co.jp

本山貴春

(もとやま・たかはる)選報日本編集主幹。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会事務局長。福岡大法学部卒(法学士)。CATV会社員を経て、平成23年に福岡市議選へ無所属で立候補するも落選(1,901票)。その際、日本初のネット選挙運動を展開して書類送検され、不起訴=無罪となった。平成29年、PR会社を起業設立。著作『日本独立論:われらはいかにして戦うべきか?』『恋闕のシンギュラリティ』『水戸黄門時空漫遊記』(いずれもAmazon kindle)。

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