日本外交を強くするためには、偉大な先人の足跡を知らねばならない

志道名桜
この記事は約4分で読めます。

数学者の岡潔は、日本には日本的情緒があると言う。

岡潔(明治34年-昭和53年)数学者

たしかに日本人は「もののあはれ」を感じるのが好きだ。自然の変化から折々の季節を感じたり、J-POPの歌詞に共感したり、オリンピックで日本以外の国の選手も応援したり、困っている人がいたら、助けずにはいられなかったりといったことがよくある。

この日本人の心は本居宣長が発見した頃から、時代の流れとともに多くの変化はあったものの、有り難いことに本質は大きく変わってはいないと私は思っている。

外国人のほうが知っている日本の歴史

そんな日本や日本人のことが好きだという国はたくさんある。

ポーランド、台湾、パラオ、トルコ、エストニア(※)、フィンランド、インド、ベトナム、インドネシア、マレーシア・・・。

※エストニアが戦前より親日国であることは、岡部伸著『「諜報の神様」と呼ばれた男』(PHP研究所刊)により確認。

ほかにもまだまだあるが、親日である理由は皆、近現代史が関係している。

しかし当の日本人はそのことに無自覚だ。多くの日本人とって「歴史」とは、学校で広く浅く教えられる暗記科目にすぎない。それではどうやって個々の国の個性や特徴をおさえられ、外交に生かすことができようか。

今度は尋常小学校の国史の教科書を開いてみた。すると現在の無機質的にキーワードが並べられたものとは異なり、実に個性豊かなキャラクターたちが日本列島で暴れまわっていた。

子供たちはこのような人間味のある、感動させるような深い歴史を学びたいのではないだろうか。

全ての高校生が歴史を学ぶことに

平成30年2月14日、9年ぶりに高校の学習指導要領が改訂され、4年後から日本史と世界史を統合した「歴史総合」をすべての高校生が学ぶことになる。

良い傾向だと思う。しかし、同時に日本という国が明治維新より前から連続性を持っているということも見過ごすことのないようくれぐれも留意してほしい点だ。

私たちは単独で存在するのではない。過去からちゃんとその意志や資質を受け継いでいる。自分以上に他人を大事にし、自分を犠牲にして相手に尽くす武士道精神を持った人たちの子孫、それが日本人だ。

東郷平八郎、ロジェストヴェンスキーを見舞う(佐世保海軍病院)

日本をだめな国だと諦めている子供たちに、日本海海戦で勝利した東郷平八郎と敵将ロジェストヴェンスキーとの間に結ばれた心温まる友情のエピソードを伝えてあげなければならない。

公教育では「日本的価値観」を教えよ

日本に生まれてよかったという誇りや希望を持たせるものでなければ歴史を学ぶことに一体どんな意味があるだろう。

日本人が自分の国について改めて自覚することができなければ、外国から日本人の精神が本当の意味で理解されるチャンスは巡ってこない。

教育勅語

今からでも遅くはない。偉人伝や教育勅語などに基づく倫理教育、神話、天皇についてなど、戦前に行われていた教育の良い部分、大事な面を取り入れ、公教育の場で子供たちに伝えていくことはできないだろうか。

そして、それをもとに世界の場で日本人同士が協力し合って日本的価値観を広め、歴史問題を正しい方向へ導いていこう。これが唯一、日本の外交を強くしていく挽回策ではなかろうか。

[clink url=”https://www.sejp.net/archives/1699″]

[clink url=”https://www.sejp.net/archives/1758″]

[clink url=”https://www.sejp.net/archives/1806″]

志道名桜(しじ・なお)/ポーランド語を大学時代に専攻。ロンドン大学にて江戸時代の儒学者、陽明学者について学ぶ。現在は働きながら、教職科目、フランス語、ドイツ語、日本の歴史について勉強中。

タイトルとURLをコピーしました