東京五輪を「お祭り騒ぎ」で終わらせるな

東京五輪2020が8月8日に閉幕した。17日間の熱戦に国民の多くが湧いた。引き続き、24日にはパラリンピックが開幕する。

今回の東京五輪は、近代五輪としては初めての延期開催となり、殆どの競技会場が無観客とされた。来日した外国人選手にも厳しい行動制限が課せられ、観光のために街に出た選手からは出場資格が剥奪されている。

わが国の新型コロナ感染状況は世界的に見ても比較的抑制されており、遅ればせながらワクチン接種も進んでいることから、競技場に観客を入れるべきという主張もあった。一方で、そもそも開催可否について国内世論が割れていたのも事実だ。

非常に特異な状況下で開催された東京五輪について、全面的に「良かった」「悪かった」という二項対立で終わらせるべきではない。大規模かつ国際的な催事運営のあり方として、あるいは近代五輪の存在価値を含め、冷静な総括を行い、次代の教訓とすべきだ。

選手軽視の大会運営

特に開会式と閉会式について、個別に見れば素晴らしいパフォーマンスもあったが、全体的に一貫性がなく、無駄に長かった。仮に質素にするのであれば、もっとメリハリをつけるべきだった。演出制作プロセスにおいて、利害関係者の多さが弊害になったと指摘されている。

そもそも、五輪の主役は出場選手である。しかし一例として、閉会式中のメダル授与式が他の選手たちに背を向ける形で行われたり、一部の演出がテレビ放送向け合成CGで構成されたりするなど、五輪を戦い抜いた選手たちを軽視する内容だった。

ご都合主義で猛暑下を走らされる

競技運営にあたっても、日本の夏特有の高温多湿気候が屋外競技の選手たちを苦しめた。気象庁が「熱中症警戒アラート」を発出し、国民に屋外での運動を控えるよう呼びかける環境で各競技は決行された。

東京の酷暑は予想の範囲内であり、それを見越して札幌に移されたマラソンでは、記録的猛暑のため男子106名のうち30名が途中棄権せざるを得ない状況に追い込まれた。真夏に五輪が開催されるのは、米国商業スポーツの都合といわれている。

美しかった選手たち

そのような過酷な状況だったからこそ、選手たちの健闘は際立った。コロナショックによって多くの国際大会が中止を余儀なくされ、辛酸を舐めたことで、一瞬一瞬の戦いにいっそう魂がこもったのかも知れない。

勝者も敗者も美しく、輝いていた。選手それぞれが人生を賭け、同胞の期待を背負う、五輪特有の高揚感を目撃できたことは幸いだった。

だからこそ、わが国は五輪との関わり方、選手育成の方法、国際スポーツ大会の運営、感染症対策、利権構造の弊害など、多くの課題を問い直す契機とすべきだろう。

元来「熱しやすく冷めやすい」ともいわれる国民性だ。多大なコストを払って開催した東京五輪をお祭り騒ぎで終わらせることなく、感動とともに貴重な教訓を語り継いで欲しい。

本山貴春(もとやま・たかはる)選報日本編集主幹。独立社PR,LLC代表サムライ☆ユニオン準備委員長。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会事務局長。福岡市議選で日本初のネット選挙を敢行して話題になる。大手CATV、NPO、ITベンチャーなどを経て起業。著作『日本独立論:われらはいかにして戦うべきか?』『恋闕のシンギュラリティ』『水戸黄門時空漫遊記』(いずれもAmazon kindle)。



コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. 【9/24】生活保護制度を学ぶオンライン講座
  2. 「コロナ不況を生き残れ」フリーランス向け支援【動画あり】

公式SNSで配信情報をお届け!

twitter

facebook

Instagram

youtube
PAGE TOP