安倍政権の内閣改造がなされたが、依然として内閣支持率は下降傾向にあるとされている。その世論調査の方法が、固定電話を持っている家庭のみを対象としているなど、国民全体の支持率を正確に反映しているのか疑いの声も大きい。
少なくとも、テレビや新聞など既存マスメディアからのみ情報を摂取している世代においては、内閣支持率が低下傾向にあるのは間違いないのだろう。
この背景には、テレビの視聴率低下や、新聞購読率の低下があると言われている。テレビや新聞などの既存マスコミは、顧客を維持、増加させるために、裏付けのある情報よりも、より顧客の関心を引く話題を増やそうとする。その一つが、政治家のスキャンダルだ。
森友学園問題や加計学園問題は、安倍首相が特定の支持者に首相の立場を利用して便宜を計ったのではないかと追求されたわけだが、その証拠は挙がらず、役人が首相の意向を「忖度したのではないか」として批判された。
もし役人が首相の意向を忖度したことで首相が責められるなら、役人はいつでも勝手に忖度して首相を辞職に追い込むことができるようになる。実におそるべき官僚専制政治の出現だ。
首相を含む為政者を評価するのは、最終的には国民による選挙である。だからこそわれわれ国民は、マスコミのスキャンダル捏造報道に騙されることのないように注意し、国民全体にとって最善の判断を下す必要がある。
そのために必要な能力が、「メディア・リテラシー」だ。
【media literacy】情報メディアを主体的に読み解いて必要な情報を引き出し、その真偽を見抜き、活用する能力のこと。(Wikipedia)
インターネットをはじめ、これだけメディア(情報媒体)が発達すると、世の中には情報が溢れ、何が事実で何が嘘か、判断するのが難しくなる。しかも今はSNSなどの普及もあり、あらゆる人が情報発信者になり得る。
メディア・リテラシーは報道機関の発信情報に対しても鵜呑みにせず、批判的に読み取ることの重要性を唱える考え方だ。しかし、報道機関に批判的になるあまり、ネットのクチコミの方を重視してしまうのも、メディア・リテラシーが高いとは言えない。
さて、メディア・リテラシーが高い人は、どのような情報の読み方をするのだろうか。新奇な、面白可笑しい、あるいは恐怖心を煽るような情報に出会ったとしても、すぐに他人に「拡散」するのはいただけない。即ち、そのニュースの根拠を確認することが重要だ。
そのニュースが客観的に見て公平か否か、確からしい事実に裏付けられているかどうか。刑事ドラマ風に言えば「裏を取る」ということをやったうえで、自らも拡散すべきだ。また、はじめから根拠を含めて情報発信すれば、その情報の信頼性も自ずと高まると言える。
ちなみに、海外では基礎教育課程において、メディア・リテラシー教育を実施している事例もある。メディア・リテラシー能力は、情報化社会で生きて行く上で「基礎的な素養」になったと言っても過言ではない。
本山貴春(もとやま・たかはる)独立社PR,LLC代表。日本初のネット選挙を敢行して話題になる。大手CATV、NPO、ITベンチャーなどを経て起業。