【書評】議会の裏側暴露『公務員の議会答弁言いかえフレーズ』

政治
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森下寿著『公務員の議会答弁言いかえフレーズ』(学陽書房)は、議会答弁をおこなう自治体職員向けの議会対策マニュアルであるが、地方議会に興味を持つ一般住民が読んでも大変興味深い内容となっている。

議会答弁の「本音と建前」などを知ることができる。

著者の森下寿氏(筆名)は基礎自治体の管理職(部長)。実名では書くことができない地方議会の裏側を管理職の目線から暴露する内容にもなっている。

地方議会の実態を勉強している方には有名な話しであるが、「やらせ質問」というのがある。

与党議員が職員に質問原稿を作成してもらい、当該議員は代表質問や一般質問でその原稿を棒読みするというものである。議員側から質問テーマなどを指定する場合と、まったくの丸投げの場合があるという。

本書でも「『何か質問を作ってくれ』と管理職に質問作成を依頼する議員もいます。(中略)この依頼を断るのはNGです。なぜなら、議員と行政は、持ちつ持たれつつの関係だからです」(93ページ)と記載されている。

逆に、行政側から与党議員に質問を依頼することもある。

本書によると「行政として対外的にアピールしたい」ときに依頼するものであり、「具体的には、①新規事業の提案、②新たな方針の決定や態度表明、③首長の出馬表明、④不祥事に対する謝罪」(95ページ)などがあるという。

行政としても、突っ込まれたくないことの1つや2つはあるであろう。答えにくい質問通告がなされれば答弁準備に苦慮することとなる。行政側が質問を作成すれば、そうした質問を封じこめることができる。

行政側が質問を作成すれば、答弁を通じて新規事業などをアピールする絶好の機会になるとともに、議決権という「武器」を持っている議員に恩を売ることもできるわけである。

本書によると、行政側が質問原稿を作成するときには「あまりに質問の内容が細かすぎる」「あの議員が、そのような質問をするのはおかしい」「質問の表現があまりにも役所的」にならないように留意しなければならない、としている。

有権者の地方議会に対する関心は驚くほど低い。こうした「やらせ質問」で議会が形骸化しているのも大きな原因であろう。質問原稿を職員に作成してもらっている議員は「議員の資格なし」と言わざるを得ない。

森下寿著
『公務員の議会答弁言いかえフレーズ』
(学陽書房)

芦田祐介(あしだ・ゆうすけ) 昭和58年生まれ。京都府久御山町議会議員(1期目)。平成23年行政書士試験合格。平成31年4月初当選。

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