安倍内閣主要閣僚のサイトをWEBマーケティング視点で採点してみた

広報戦略
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平成29年8月3日、第3次安倍第3次改造内閣が発足した。閣僚の顔ぶれについては様々な評価があるが、毀誉褒貶に惑わされずにしっかり仕事をやって欲しいところだ。

新しい大臣が任命されて、もし「よく知らない政治家」だったら、その大臣の名前をネットで検索するという人も多いのではないだろうか。いまの時代は、政治家もネットを通じて直接有権者と繋がることができる。安倍内閣のようにマスメディアから袋叩きに遭うことも多いのだから、直接伝えることができるウェブサイトは非常に重要だ。

しかし、政治家の公式サイトは、WEB業界の人間から見ると不充分なサイトが多い。そこで今回、WEBマーケティングの専門的な評価ポイントによって、主要閣僚の政治家としての公式サイトを一気に採点して見ることにした。

なお、評価ポイントは次の5項目だ。

A)政治家としてのゴール、理想、信念がわかるか
B)誰のために働いているのか、ターゲットが絞られているか
C)政策メニューがわかりやすく解説されているか
D)実績が充実しているか
E)支持者と繋がる仕組み(アクション)があるか

なお、上記の評価ポイントは、筆者がIT企業に在職していた際、企業のWEBサイトを分析する際に実際用いた評価ポイントに準拠している。政治家本人に対する好き嫌いは度外視しているので悪しからず。

採点基準は以下の5段階評価だ。

4点 とてもわかりやすい
3点 わかりやすい
2点 掲載されている
1点 掲載されいるがわかりにくい
0点 掲載されていない

では、採点結果を見てみよう。


内閣総理大臣 安倍晋三  https://www.s-abe.or.jp/
A)ゴール 4点
B)ターゲット 2点
C)政策メニュー 2点
D)実績 1点
E)アクション 3点
合計 12点
デザインレイアウトは若干古いが、コンテンツは充実している。政策メニューがマクロ寄りなのは首相という立場上やむを得ないのか。具体的な過去の実績をもっと載せると、より訴求力のあるサイトになるのでは。


財務大臣 麻生太郎  http://www.aso-taro.jp/
A)ゴール  0点
B)ターゲット 1点
C)政策メニュー 0点
D)実績 1点
E)アクション 0点
合計 2点
全体的に古臭く、一部にリンク切れがある。ターゲットとなる選挙区民がネットを見ないと考え手を抜いているのか。副総理という立場を考えるとあまりに酷いサイト。早急に全面リニューアルするか政治家を引退すべきレベル。


総務大臣 野田聖子  http://www.noda-seiko.gr.jp/
A)ゴール 3点
B)ターゲット 2点
C)政策メニュー 2点
D)実績 0点
E)アクション 3点
合計 10点
ぱっと見、良いデザインに見えるがコンテンツが充実していない。政策メニューは比較的充実しているものの、文章ばかりで訴求力が弱い。グローバルナビのリンク先に一部ミスがあり、詰めの甘さをうかがわせる。


法務大臣 上川陽子  http://www.kamikawayoko.net/
A)ゴール 1点
B)ターゲット 1点
C)政策メニュー 2点
D)実績 1点
E)アクション 3点
合計 8点
政策が総花的であり、ベトナムやミャンマーとのコネクションを売りにしているようにも見えるがターゲットが不明。トップの写真がなんとなく怖くて、本人の人間性が伝わりにくいのが残念。


外務大臣 河野太郎  https://www.taro.org/
A)ゴール 0点
B)ターゲット 1点
C)政策メニュー 1点
D)実績 0点
E)アクション 3点
合計 5点
やたらにカッコ良いトップページだが、選挙区以外のターゲットが不明。政策に関する記述は多いが、ブログ形式になっており、体系化されていない。政治家としての目標がよくわからないのは致命的。


文部科学大臣 林芳正  https://www.yoshimasa.com/
A)ゴール 2点
B)ターゲット 0点
C)政策メニュー 2点
D)実績 0点
E)アクション 3点
合計 7点
農林水産政策に力を入れているように見えるが、ターゲットが今ひとつ不明確。政策にも具体性がない。活動報告はあるが露出情報が中心で、実績が全くわからない。ウェブサイトとしては一昔前のタイプと言える。


厚生労働大臣 加藤勝信  http://www.katokatsunobu.net/
A)ゴール 2点
B)ターゲット 1点
C)政策メニュー 2点
D)実績 0点
E)アクション 3点
合計 8点
キャッチコピーからは地方重視に見えるが、政策メニューに具体性がない。活動報告にも内容がなく、実績が不明。トップページがブログになっていて、サイトそのものが見づらい印象を与える。写真は多いが人間性が伝わらない。


農林水産大臣 齋藤健 https://www.saito-ken.jp/
A)ゴール 4点
B)ターゲット 1点
C)政策メニュー 2点
D)実績 0点
E)アクション 4点
合計 11点
人間性が伝わり、温かみのあるデザイン。コンテンツも見やすく整理されている。しかし政策がブログベースで体系化されておらず、実績は全くわからない。アクションの種類が充実しているのは政治家サイトとしては高評価。


経済産業大臣 世耕弘成  https://sekohiroshige.jp/
A)ゴール 0点
B)ターゲット 1点
C)政策メニュー 0点
D)実績 1点
E)アクション 1点
合計 3点
公式サイトというよりブログサイト。グローバルナビが存在せず、閲覧者を戸惑わせる。記事は充実していて情報発信に熱心なのは伝わるが、政治家としての目標や人間性もよくわからない。メールフォームではなくメールアドレスが掲載されている点はセキュリティ観念の無さを示している。


国土交通大臣 石井啓一  http://www.k1-ishii.com/
A)ゴール 0点
B)ターゲット 1点
C)政策メニュー 0点
D)実績 0点
E)アクション 1点
合計 2点
冗談のような古色蒼然たるサイト。創価学会の信者はネットを見ないと思っているのだろうか。政治家として何をやりたいのか全くわからない。SNSのアカウントが掲載されていない点も、理解不能。そもそもアカウントを開設していないのだろうか。


環境大臣 中川雅治  http://www.nakagawa-masaharu.jp/
A)ゴール 4点
B)ターゲット 2点
C)政策メニュー 3点
D)実績 3点
E)アクション 1点
合計 13点
政治家としての目標、政策、実績のコンテンツが非常に充実しており、一貫性がある。本人の人間性も伝わる良いサイト。残念なのはメールフォームもメールアドレスも掲載されていないこと。これだと一方的な印象を与えかねない。


防衛大臣 小野寺五典  http://www.itsunori.com/
A)ゴール 2点
B)ターゲット 2点
C)政策メニュー 0点
D)実績 0点
E)アクション0 点
合計 4点
驚くべきことに、トップページにFlashが使われている。Chromeで閲覧すると、エラー表示になった。Flashは近く廃止されるので、早急に差し替えるべき。SNSもメールアドレスもなく、有権者と双方向でやりとりする姿勢が全く見えない。なぜか自衛隊のfacebookページがリンクされている点もマイナス。


内閣官房長官 菅義偉  http://www.sugayoshihide.gr.jp/
A)ゴール 1点
B)ターゲット 2点
C)政策メニュー 1点
D)実績 0点
E)アクション 3点
合計 7点
政権の顔として首相以上にメディア露出しているのに、このサイトはマイナスの印象を与えかねない。選挙区的にも、ネットユーザーは多いのではないだろうか。メールマガジンを登録しようとするとメーラーが起動したのには驚いた。

以上、主要閣僚13名のサイトを分析した。20点満点中、10点以上だったのは4名だった。大臣になるくらいなので国会議員の中では大物と言って良いだろうが、WEBサイトだけ見るとこの水準である。もちろん、サイトの出来が悪いからと言って政治家としての力量が低いと言うことはできない。しかしインターネットの使い方によって、国民に対する姿勢を判断される、という可能性は高まっているのではないだろうか。

とくにWEBマーケティングの観点で指摘すると、多くのサイトで「実績」に関する記載が足りない。活動報告と称して、国会活動や地元での政治活動を箇条書きにしている程度で、自分が国会議員であることで過去に何を成し遂げたのか、もっと丁寧に説明すべきではないか。過去に大臣経験のある議員も多いのだから、実績が無いとは考えにくい。企業サイトであれば、実績は絶対に欠かせない主要コンテンツである。

内閣支持率を上げるためにも、新大臣のみなさんには、上記の評価を参考にして個人サイトの一刻も早いリニューアルをおすすめしたい。

独立社PR,LLC 代表 本山貴春

本山貴春

(もとやま・たかはる)選報日本編集主幹。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会事務局長。福岡大法学部卒(法学士)。CATV会社員を経て、平成23年に福岡市議選へ無所属で立候補するも落選(1,901票)。その際、日本初のネット選挙運動を展開して書類送検され、不起訴=無罪となった。平成29年、PR会社を起業設立。著作『日本独立論:われらはいかにして戦うべきか?』『恋闕のシンギュラリティ』『水戸黄門時空漫遊記』(いずれもAmazon kindle)。

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