軽減税率に飲食店大打撃 不正誘発で国税庁「恐怖政治」が始まる

いよいよ10月の消費税大増税を目前にして、飲食業界が揺れている。令和元年9月3日、牛丼大手の「すき家」はプレスリリースにおいて「店内での飲食と持ち帰りの場合での税込価格を統一する」と発表した。

それに対し、同じく牛丼大手の「吉野家」は持ち帰り分と店内食の本体価格を分けない方向で検討しているという。「松屋」は販売価格を統一する方向で調整中だ。

政府は10%への消費税増税にあたり、新聞と食料品のみに軽減税率「8%」を適用する。しかし食料品について「外食」にあたる場合は軽減税率の対象外だ。

課税という行為は「懲罰」という側面を持つ。例えば酒税やタバコ税は、国民の健康を害さないように消費を抑制するべく年々税率が上がっている。

食料品のうち「外食」にのみ高率税を適用するということは、政府が「外食」を贅沢行為として認定したに等しく、国民の「外食」利用を抑制する効果を持っている。

政府広報オンラインより

つまり政府は低所得層の国民に「外食なんて贅沢はせず、貧乏なら家に持ち帰って食べなさい」というメッセージを発信していることになるわけだ。

「外食が贅沢」というのはあまりに昭和的発想で、実態とかけ離れているのではないか。

出前・宅配は軽減税率の対象

出前・宅配(デリバリー)はピザや寿司の他にも、バラエティが増えている。そもそも出前・宅配は運送の手間がかかるぶん、店で食べるよりも割高な場合の方が多い。

ピザチェーンによっては「持ち帰りでもう1枚無料」などという気前の良いサービスを提供している店もある。こう考えると出前を頼むことは贅沢に思えるが、なぜか軽減税率の対象になっている。

出前は軽減税率だが、似たようなサービスであるケータリング(出張配食サービス)はなぜか「外食扱い」となり10%が適用される。食べ物を持ってきてくれるのは同じで、配膳スタッフの有無しか違いはない。

もっともややこしいのが、コンビニやスーパーなど小売店で購入した商品を店内の「イートイン」で飲食する場合だ。これは政府の説明では軽減税率対象外だが、消費者が購入後に「気が変わったら」どうするのか。

おそらく実際にはかなりのケースでグレイゾーンがあり、「お目こぼし」が行われるだろうが、これは非常に恐ろしいことなのだ。

国民の生殺与奪権を握る官僚機構

事業者は営利活動を行うわけだから、出来るだけ「節税しよう」とするインセンティブが働く。店内食と持ち帰り客の比率が拮抗する業態であれば、経理上は持ち帰り比率が上がった方が良い。

これは両者の販売価格を分ける(店内食を実質値引きする)場合は特に顕著だ。2%というのは薄利多売のファストフード店であれば相当大きなインパクトがある筈だ。経理上の不正はあまりに容易だ。

ドラマ『半沢直樹』の国税庁統括官

実際に不正を行うかどうかは別にして(もちろんやるべきではないが)、不正を疑うこともまた容易である。気軽に脱税を行える状態で野放しにして、徴税当局はいつでも踏み込むことができる。

もし企業側が不正を行っていなくても、税務署に「ガサ入れ」された時点で、ブランドイメージはガタ落ちになる。飲食業界は税務署に生殺与奪の権を握られたと言って良い。

つまり軽減税率の導入は、税務署(国税庁)の政治権力を相当高めるだろう。その背後にいるのは軽減税率制度を作った財務省である。

本山貴春(もとやま・たかはる)独立社PR,LLC代表。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会副代表。福岡市議選で日本初のネット選挙を敢行して話題になる。大手CATV、NPO、ITベンチャーなどを経て起業。



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