明治、大正、昭和、平成…元号だけではない、世界各地の独自カレンダー

天皇陛下の譲位にともない、「平成」は31年で終わることが決まった。

元号が変わることを「改元」と呼ぶが、わが国では近代以降はお一人の天皇陛下に一つの元号を定める原則(一世一元の制)があり、天皇の代替わりと改元がセットになっている。

元号制度は非合理?

わが国の行政機関が使用する公文書は原則として西暦ではなく元号で記載することが原則になっている。その法的根拠が「元号法」である。

元号法
1 元号は、政令で定める。
2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。

たった2条の短い法律だ。元号法は昭和54年に成立した。戦前は、元号の法的根拠は皇室典範にあったが、敗戦時に改定されたため、戦後しばらくたって改めて法制化されたというわけだ。

元号は独自のものであり、国際的な普遍性はない。また、未来の元号はわからないので、不都合を生じることもある。その不合理性をもって、「元号制度を廃止すべき」という主張も一定の説得力を持っている。

そもそも元号とは?

元号制度は古代中国に始まる。古代においては「暦」を定めることができるのは「皇帝」のみであった。世界最初の元号が定められたのは紀元前115年ごろというから、長い歴史がある。

当初から元号は皇帝の代替わりごとに改元されていたが、やがて吉兆に応じても改元されるようになった。中華皇帝が定めた元号は、中華帝国に服属する周辺諸国でも使用された。

中華思想(中華帝国が世界を支配するという思想)では、中国と外国は対等ではない。中国と交易を行うには、中華皇帝に対して服属の意を示し、中華皇帝の定める暦を使用することが義務付けられた。(これを冊封体制という)

しかし、中華帝国に服属しない国家は独自の年号を定めた。日本やベトナムがこれにあたる。日本が現在も独自の年号を使用しているのは、日本が独立国家であることを証明することでもあるのだ。

元号と紀元

元号には必ず改元があり、年数のカウントがやり直しとなるわけだが、これに対し唯一の開始年を定めて永久にカウントし続ける仕組みを「紀元」という。

「西暦」は元々はイエス・キリストの生まれ年を開始年とする「紀元」の一種である。(現在では研究によってイエスの生まれ年は紀元前6〜4年ごろとされる)

つまり、西暦とは「キリスト暦」のことなのだ。西暦をA.D.と略記することがあるが、これはラテン語の「アンノドミニ (Anno Domini)」の略で、直訳すると「主の年」となる。

キリスト教圏で西暦が使われたことは当然だったろう。中世においてはローマ法王が暦を定めた。現在の太陽暦(グレゴリオ暦)を制定したのもローマ法王である。

しかしキリスト教圏でない国家が西暦を使うのは本来おかしい。西暦を使うということは、キリスト教圏に入る(あるいはキリスト教国に服属する)ことを意味する。

そこで、わが国では戦前までは「皇紀」という紀元を(元号と併せて)使用していた。皇紀は、神武天皇が橿原宮で即位した年を推定して開始年に定めている。西暦2018年は皇紀2678年だ。

ちなみに、日本軍の戦闘機で有名な「零戦(零式艦上戦闘機)」は、皇紀2600年に正式採用されたのでこの名称になっている。

世界各国の「紀元」

独自の紀元を定めた国は大日本帝国だけではない。

お隣の中国では辛亥革命で中華民国政府が樹立された際に「黄帝紀元」を採用し、さらに孫文が臨時大総統に就任するとこれを廃して「民國紀元」を制定した。現在でも台湾において民國紀元が使用されている。

他にもイスラム教圏で使用される「ヒジュラ紀元」、仏教圏の「仏滅紀元」、ユダヤ教の「創世紀元」、北朝鮮の「主体(チュチェ)紀元」など様々ある。

グローバル経済の発展に伴い、各地の紀元は西暦に収斂されていく可能性もあるが、キリスト教に基づく西暦を使用することには今なお抵抗感が残る国も多いようだ。

まとめ

元号制度や独自紀元は確かに不合理な面がある。

今後、インターネットのさらなる普及、関税障壁の撤廃などに伴い、ますますグルーバル化が進み、様々な制度が収斂していくだろうが、それでもこのような独自制度が維持されてよいのではないか。

一見すると不便なようでも、文化には由緒があり、独自性が世界の多様性を確保してくれる。自分の常識と全く違う世界があったほうが面白いし、人類社会は豊かになるのだから。

本山貴春(もとやま・たかはる)独立社PR,LLC代表。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会副代表。福岡市議選で日本初のネット選挙を敢行して話題になる。大手CATV、NPO、ITベンチャーなどを経て起業。

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