いじめられっ子はいじめっ子に復讐せよ

教育
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(執筆者 本山貴春)

今年の流行語大賞にノミネート確実なフレーズの一つが「やられたらやり返す!倍返しだ!」である。
TBS系で放送された『半沢直樹』は銀行マンの葛藤を描いた社会派ドラマで、近年にない高視聴率のドラマとして知られている。

半沢直樹はバブル期に入行したエリート銀行マンで、魑魅魍魎の跋扈する銀行内で自己の正義感を貫こうとして四苦八苦する。警察ドラマとして一世風靡した『踊る大捜査線(フジテレビ)』を髣髴とさせる内容だ。『踊る』の主人公と違うのは、半沢が権力闘争に勝って出世していく点だ。敵の不正を暴露し叩きのめすシーンは圧巻で、まるで時代劇(水戸黄門や暴れん坊将軍)のよう、という声もある。そのあたりが痛快で、視聴者に受けるのだろう。

私がこのドラマを観て驚くのは、こんな「復仇」をテーマにしたストーリーが堂々と放送されるようになったことだ。少し前までであれば「やられたらやり返す!」なんて、子供の教育に悪いと非難されたのではないだろうか。「やられてもやり返さない」のが、戦後日本の平和主義なのだ。よくある「学校内のいじめ事件」の報道に接して思うのもそのことだ。子供たちは「やられたらやり返せ!」とは教えられない。だから、いじめに遭っても対処の仕方が分からない。そして自殺する。

いじめというものは根絶できない。子供というのは残酷で、なぜ残酷かというと、痛い目に遭った経験が少ないので、他人の痛みが理解できないのだ。だから平気で他人をいじめる。いじめを無くすには、いじめられっ子が「やられたらやり返し」て、いじめっ子を痛い目に遭わせるしかない。(あるいは、共通の敵や共通の目標ができればいじめは無くなるだろう)

人間社会というものは残酷で、基本的に人は自己の生存が最優先だ。そして世の中の資源は限られているので、人間社会は競争社会になる。人間だけではない、生存競争こそが、自然の摂理である。だから人間も、常に自衛せねばならない。もっとも有効な自衛は「攻撃されないようにする」ことで、攻撃されないためには、攻撃されたときにしっかり報復することを明示しておかねばならない。これは子供のいじめから、核の相互確証破壊まで貫く真実なのだ。

先日、拉致被害者救出の署名活動を行ったときに、この話題を話した。拉致犯罪は、「日本は何もできないだろう」と北朝鮮が高をくくったから起こった。実際に、日本政府は北朝鮮を攻撃しなかったし、これからも攻撃しないだろう。これは「普通の国」では異常なことだ。普通の国は、国民が拉致されれば「最終的には軍隊を送っってでも」救出しようとするだろう。その前提があって、話し合いも成り立つのだ。

いま日本人に必要なのは、「やられたらやり返す!10倍返しだ!」の精神である。みんなそのことを薄々感じているから、あのドラマが大ヒットしたのだろう。

本山貴春

(もとやま・たかはる)選報日本編集主幹。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会事務局長。福岡大法学部卒(法学士)。CATV会社員を経て、平成23年に福岡市議選へ無所属で立候補するも落選(1,901票)。その際、日本初のネット選挙運動を展開して書類送検され、不起訴=無罪となった。平成29年、PR会社を起業設立。著作『日本独立論:われらはいかにして戦うべきか?』『恋闕のシンギュラリティ』『水戸黄門時空漫遊記』(いずれもAmazon kindle)。

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