北朝鮮ミサイルが日本国民を殺傷した場合、政府は反撃できるのか?

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平成29年8月29日午前5時58分ごろ、北朝鮮が発射した弾道ミサイルは北海道上空を通過し、太平洋上に着弾した。襟裳岬の東1180キロの地点に落下したのは6時12分ごろだった。

水産庁は6時1分に内閣官房から一報を受け、漁業無線局などを通じて沖合の漁船に注意を呼びかけたという。今のところ、船舶などの被害は報告されていない。北海道東沖ではサンマ漁が行われていた。

今回のミサイル発射は事前通告がなかった。ここ最近ミサイル発射が増えているが、わが国上空を通過させたのは平成21年以来のことで、前回は人工衛星の発射実験と称していた。

北朝鮮のミサイル

北朝鮮は8月初旬に米国グアム沖へのミサイル発射を予告していた。この予告に対し、トランプ大統領は「炎と激怒」で対応すると返答。事実上、開戦を警告していた。北朝鮮としては米国の虎の尾を踏むことを避けた格好だ。

北朝鮮のミサイル発射を受けて、日本国内にはJアラート(全国瞬時警報システム)が発令された。発令範囲は関東を含む東日本全域に及んだ。宮城、青森、茨城の各県では高等学校などが一部休校になった。

米ワシントンポスト紙は、「北朝鮮のミサイル発射を受けて、日本政府は激怒している」「しかし、日本はミサイルを撃墜しようとしなかった」などと報じた。

今回のミサイル発射によって被害は確認されていないが、仮に今後ミサイルが日本の船舶に直撃、あるいはミサイルの影響で転覆などした場合、日本政府の対応に変化はあるのだろうか?

わが国は憲法9条の縛りによって、「国権の発動たる戦争」を禁止されている。しかし止むを得ない自衛戦争は禁じられていない、というのが歴代政府の見解だ。ミサイル発射で漁船などに被害が出た際、自衛隊が北朝鮮に「反撃」することは自衛の範囲内と言える。

漁船に直撃せずとも、北朝鮮の度重なるミサイル発射によってわが国の漁師は漁業活動に支障をきたしている。日本海側でも太平洋側でも、安心して漁ができないのだ。漁師の仕事場を安全な場所にするには、北朝鮮の発射基地を沈黙させるしかない。

現代における戦争は、敵が攻撃した時点で受け手は致命的な損害を負っている可能性が高い。特に核ミサイルは、撃たれてからは手遅れだ。日本の一都市が瞬時に全滅しかねない。迎撃と言っても、技術的に困難で、複数のミサイルを同時に撃たれれば対応できない。

憲法9条を守るために編み出されたのが「専守防衛」という概念だ。これは「攻撃されない限り攻撃しない」というルールで、日本の国是のようになっている。この国是を守る限り、侵略を受けて国民多数に死傷者が出ることは避けられない。

現代における防衛戦争の基本は「敵基地先制攻撃」だ。ミサイルを発射される前に、敵のミサイル発射基地を物理的に壊滅させることが真の自衛戦争とされる。しかしわが国において「敵基地先制攻撃力」は準備されていない。

それどころか、反撃(報復)のための敵基地攻撃能力もない。国民が死傷しても、日本政府には反撃の意思も能力もない、と考えておいた方が良い。それは、1千名近くの国民が40年間も拉致されていながら放置している日本政府の態度を見れば明らかだ。

和田政宗参議院議員は29日、SNSで次のように発言した。

「国と国民が危機にさらされる時には断固戦う覚悟をもって国と国民を守る姿勢があってこそ、相手は撃てなくなるわけです。(中略)トマホークなどの確実な反撃力、敵基地攻撃能力を持つことが我が国の平和を守るために重要です」

また8月29日夕方、福岡市天神ではインターネットの呼びかけにより市民十数名が横断幕を掲げて抗議の声を挙げた。北朝鮮へ口先の抗議しかできない日本政府に対し、敵基地攻撃能力を含む反撃力の保持、国民の安全を守る努力を求める内容だった。

本山貴春(もとやま・たかはる)独立社PR,LLC代表。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会副代表。福岡市議選で日本初のネット選挙を敢行して話題になる。大手CATV、NPO、ITベンチャーなどを経て起業。

本山貴春

(もとやま・たかはる)選報日本編集主幹。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会事務局長。福岡大法学部卒(法学士)。CATV会社員を経て、平成23年に福岡市議選へ無所属で立候補するも落選(1,901票)。その際、日本初のネット選挙運動を展開して書類送検され、不起訴=無罪となった。平成29年、PR会社を起業設立。著作『日本独立論:われらはいかにして戦うべきか?』『恋闕のシンギュラリティ』『水戸黄門時空漫遊記』(いずれもAmazon kindle)。

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