わが国ではありとあらゆるものが自動販売機(以下、自販機)で販売されている。ジュースから、お酒、食品、タバコ、玩具、お土産、果物など、思いついたものは何でもある。日本における自動販売機の年間売上はおよそ5兆円、世界一だ。
日本を抜いて世界第二位の経済大国になった中国でも、90年代から自販機が普及し始めた。現在では約20万台設置されている(中国サプライチェーン経営協会)が、日本ほどの普及率ではない。日本の自販機台数は500万台以上(米国ビジネスインサイダー紙)だ。
しかし、そんな中国でも、自販機が再び増加傾向にある。様々な自動販売機が学校、駅、オフィスビル、ショッピングセンターなどの近辺に置かれるようになったのだ。それも、「現金のいらない自販機」だ。
中国都市部ではスマートフォン決済サービスAlipayが普及し、自販機でも利用できるようになっている。自販機に表示されたQRコードをスマホのアプリで読み取ると、スマホで決済して商品を受け取ることができるのだ。
自販機は単なる物販ツールではなく、高度情報産業になりつつある。
さらに、最近登場したのが、「ミニ・カラオケボックス」だ。映画館やショッピングセンターに設置されている。従来のカラオケ店と違い、電話ボックスのような2㎡未満の空間に、カウンターチェアーが2脚、ガラス壁が外の雑音をシャットアウトし、ゆったり歌える空間が作られている。
大きなモニターで最新の歌を選択でき、ヘッドホン、マイクが2セットあり、2人までが同時に利用できる。特に若者に人気で、週末には満室になるという。しかも価格は、普通のカラオケボックスに比べて安いわけではない。
このような自販機型セルフサービスの増加は、都市化の進展と関係がある。都市化が進むにつれ、一人暮らしが増え、一人で利用できるサービスが人気を集めているというわけだ。
本山貴春(もとやま・たかはる)独立社PR,LLC代表。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会副代表。福岡市議選で日本初のネット選挙を敢行して話題になる。大手CATV、NPO、ITベンチャーなどを経て起業。