地方議員の会、政府にウイグル調査と対中制裁を要請

人権
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令和3年3月31日、ウイグルを応援する全国地方議員の会(丸山治章会長/逗子市議)は衆議院会館で代表理事会を開催し、政府にウイグルにおける人権弾圧の実態調査と対中国経済制裁を求める声明を全会一致で採択した。

代表理事会には在日ウイグル人らが構成する日本ウイグル協会の幹部が出席した他、ウイグル支援に取り組む国会議員なども参加した。

地方議員の会は声明文の中で、ウイグル人への人権弾圧を理由とした対中国制裁強化の動きを指摘。

家族に会えない在日ウイグル人の声が同会に寄せられていることを紹介し、「日本政府に対してその調査および中国への確固たる制裁を求める」としている。

地方議員の会が発表した声明全文は以下の通り。

中国による人権侵害に対し抗議し、日本政府に調査および制裁を求める声明

 今、人類は分水嶺に立っている。歴史上類を見ない残虐で卑劣な悪行に対して、勇気をもって立ち向かうのか、それとも見て見ぬふりをするのか。そして、我が国日本も同様に岐路に立っている。人権を守り尊敬される国となるのか、人権後進国となるのか。
 3月22日、アメリカ、イギリス、カナダの3か国とEU(ヨーロッパ連合)は、中国のいわゆる新疆ウイグル自治区(本来は東トルキスタンと呼ぶべき)での人権侵害に関わったとして、自治区の当局者らに対し資産凍結や渡航禁止などの制裁を発動した。これで、G7主要7か国のうち日本だけが足並みを揃えておらず、このままいけば日本は人権後進国と世界に認識される。
 それに先立ち、昨年6月17日、アメリカではウイグル人権法が成立。そして、1月19日、中国が国際法上の犯罪となる「ジェノサイド(民族大量虐殺)」及び「人道に対する罪」を犯していると認定した。
 また、2月22日、カナダ議会(下院)は中国が東トルキスタンでウイグル人及び他のテュルク系住民に対してジェノサイドを行っていると認定する決議案を採択した。さらに、2月25日、オランダ議会は、新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族の状況についてジェノサイドと認定する動議を欧州で初めて可決した。
 これら世界各国の動きの基となったのは、元カナダ国務省アジア太平洋担当大臣デービッド・キルガー氏と人権擁護弁護士デービッド・マタス氏の報告である。
 それによると、1999年7月より、中国共産党政府が精神修養法である法輪功を撲滅する目的で徹底的な迫害運動を全国的に導入し、数十万人の法輪功修煉者が逮捕・拘束され不本意に大量の臓器の摘出が行われており、同時に、ウイグル、チベットの無実の囚人も強制的な臓器移植の標的になっていると報告されている。
 ウイグル人の置かれている状況は、3年程前から急速に悪化しており、中国の新疆ウイグル自治区とされている東トルキスタンにおいて、ウイグル人の人権が著しく侵害されている。再教育機関と称する大規模な強制収容所に数百万ものウイグル人が強制的に収容され、狭い部屋に大勢が押し込められ、洗脳や拷問、臓器の収奪、生命を奪われるなど、およそ人の心を持っているとは思えない残虐な行為が行われている。
 BBCニュースは、2018年10月、13万人が収容できる巨大な収容所をウルムチ郊外に発見したと報じ、AFPBBNewsでは、中国のウイグル人収容施設が500か所近くあることを確認、100万人超が収容されていると報じた。ウイグル人強制収容所について調査・研究をしているドイツ人のアドリアン・ツェンツ博士は、1000か所を超える強制収容所が存在すると述べている。
 強制収容者の数は、国連は約100万人、米国務省は、80万人から200万人、米国防総省は、300万人近くと発表しており、いずれにしても、先の大戦でのナチスの強制収容所での最大値とされる約71万5千人をはるかに超えている。
 ウイグルでは、独自文化を支える著名文化人がここ数年で一斉に姿を消し、確認できただけでも2年間で270人の人が強制収容所内で死亡している。奇跡的に強制収容所から生還したメヒルグル・トゥルスン氏は、一緒に収容されたウイグル人女性68人のうち、9人が亡くなったと米国議会の公聴会で証言している。クチャ県の強制収容所においては、半年で少なくとも150人が亡くなったと地元の警察が証言している。そして、女性に不妊手術を強制したり、子供を親から強制的に引き離すなど、21世紀のこととは思えない事態が起きているとの専門家の報告が相次いでいる。
 3月18日、国際人権団体アムネスティ・ インターナショナルにより、中国が新彊で行う弾圧政策により、親と子が数年にわたって互いに引き離されているウイグル人の家族が、世界中に数千組いる可能性があると報告された。実際、我が子に会えない日本在住のウイグル人による相談も、当会に寄せられている。
 さらには、3月30日に開催されたSMGネットワークの総会において、日本ウイグル協会より、厳しい監視下にあるにもかかわらず多数の子ども達が行方不明になっていると報告されている。加えて、同日、アメリカのバイデン政権で初となる「世界の人権状況に関する年次報告書」が発表され、中国が新疆ウイグル自治区で「大量虐殺を行っている」と強く批判した。
 中国共産党政府は、1949年以来、自国民に対する残虐な人権侵害を大規模に繰り返してきたが、反面、「人権条約」に署名・批准している。そして、中国の刑務所や拘置所では組織的な拷問が日常茶飯事だが、中国は「拷問禁止条約」に署名し批准している。中国はウイグル人、チベット人、その他の少数民族を弾圧しているにもかかわらず「あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約」に署名し批准している。さらに中国は、国連人権理事会のメンバーでもあり、国連の常任理事国である。国際法は、国家が原則を受け入れ、自国に適用されることを受け入れたメカニズムを通し各国の努力によって整備されてきたが、中国によって完全に無力化されている。
 よって本会は、人類の歴史に泥を塗る中国共産党政府による史上最悪の残虐行為に対し強く抗議し、日本政府に対してその調査および中国への確固たる制裁を求めるものである。
令和3年(2021年)3月31日
ウイグルを応援する全国地方議員の会

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