【10/22】三島由紀夫の深い憂い 自決の謎を解く問題作『憂国』『英霊の声』

昨年の3月より始めた読詠会ですが、次回で15回目を数えます。まだ、『春の雪』を残してはおりますが、三島由紀夫の代表作には、およそ一通り触れることが出来ました。

初めての試みゆえ、不安が全くなかった訳ではありませんでしたが、読詠する三島由紀夫の文章は、そのような私のつまらぬ杞憂を一掃する力と美しさに満ちていました。回を重ねるごとに、参加者も増えていき、様々な、このような機会でもなければ決して出会うことが無かったであろう方々との出会いは、私の新しい宝となりました。

是非この喜びを、より多くの方々と共にしたく、今回も奮っての参加をお待ち申し上げる次第です。

次回の読詠会は、問題作である『憂国』『英霊の声』を取り上げます。

三島由紀夫の生涯を俯瞰すれば、死に場所にはぐれた人間の嘆きが通奏低音の如く響いてきます。

乃木さんはこの三十五年の間死のう死のうと思って、死ぬ機会を待っていたらしいのです。私はそういう人に取って、生きていた三十五年が苦しいか、また刀を腹へ突き立てた一刹那が苦しいか、どっちが苦しいだろうと考えました。
(夏目漱石『こころ』)

この文章、乃木さんを三島さんに、「三十五年」を「戦後二十五年」と書き変えれば、それはそのまま三島由紀夫の人生に対する感慨になってしまうのです。

人はよく、三島由紀夫が何故自死したのか分からないというのです。もちろん他者の心の全てなど見通せるはずもありませんが、『こころ』を読んでこの先生の感慨を肯首される方であれば、三島由紀夫の死の根底にあったものをある程度ご推察いただけるのではないかと思うのです。

『憂国』『英霊の声』2作は、そのような三島の深い憂いの声が、登場人物に託された形ではあるとはいえ、かなり直截的に伝わってきます。そしてそれは、読むよりも(声に出して)詠んだ方がより切実なものとなることは明白だと思います。

私達は戦後、何を得たのか、そして何を失ったのか。三島由紀夫の哀しくも美しい文と共に、命日も近づく仲秋の候、語り合ってみませんか。未読の方も歓迎します。

三島由紀夫読詠会@福岡『憂国』『英霊の声』

日時:令和2年10月22日(木)19:00-20:30
会場:福岡市(詳細はお問い合わせください)
詳細:reimeisha.jp/news

石原志乃武(いしはら・しのぶ)/昭和34年生、福岡在住。心育研究家。現在の知識偏重の教育に警鐘を鳴らし、心を育てる教育(心育)の確立を目指す。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会幹事。福岡黎明社会員。

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