灼熱の大理石の煌めきに圧倒される!中島淳一演劇『金色の炎』

ブラームスの管弦楽曲の傑作の一つに、「ハイドンの主題による変奏曲」というものがある。曲の主題をハイドンの曲から採り、これにブラームスが、自身の作曲技術の奥義を尽くし、主題に巧緻を極めた様々な彫琢を施していくものである。

聞き始めこそ、ハイドンの曲のようであるが、聞き終えたときの感想はブラームスの作品を聞いたというものしか残らない。

今回、中島淳一氏の新作『金色の炎~三島由紀夫没後五十年に捧ぐ~』の完成披露会を見て、私の頭の中に浮かんだ言葉は、「三島由紀夫の主題による変奏劇」というものであった。

この芝居、三島由紀夫の小説を読んでいる者であれば、あの畢生の大傑作、『金閣寺』を舞台化した物であることは、冒頭から容易に理解できる。

しかし、芝居が進んで行くにつれ、次第に内容に人間の性・業といった、いつもの中島氏の芝居に見られる要素が溶けこんで行き、終盤、主人公と老子が対峙し、老子が自らの秘密を主人公に語るダイアローグ(もちろん小説には無い)に至る頃には、作品は三島由紀夫と中島淳一、両表現者の魂が混然一体となり、神韻縹渺たる高みに駆け上がっていく光景を観客は見ることとなるのである。

大理石に例えられることもある硬質で美しい三島文学であるが、そこに中島演劇の燃え上がるような熱気が加わる訳で、それはあたかも、灼熱の熱気に煌めく大理石を見るようであり、そのエネルギーと眩いばかりの美しさに、一時間近くの間、私は圧倒され尽くした。

ちなみに同行した三島由紀夫ファンは、上演中ずっと燃え上がる金閣寺が、中島淳一氏の後ろに見えたそうである。

この傑作が、今回、第49回福岡憂国忌(於・筥崎宮参集殿)で上演される。

憂国忌に参加された方はお分かりであろうが、三島由紀夫・森田必勝両烈士氏の御霊を祭る憂国忌は、特別な空気が辺りを支配する。誤解を恐れずに言えば、両烈士の魂が舞い降りて来たかの如く、神気の漂う場が現出するのであり、招魂の儀の意味を体感できる。

この芝居にとって、これ以上の“舞台装置”があろうか。令和元年11月23日は、日本の演劇界に一つの歴史が刻まれる日である。是非、一人でも多くの方に、時代の目撃者になって頂きたいと願うばかりである。

石原志乃武(いしはら・しのぶ)/昭和34年生、福岡在住。心育研究家。現在の知識偏重の教育に警鐘を鳴らし、心を育てる教育(心育)の確立を目指す。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会幹事。福岡黎明社会員。

第49回福岡憂国忌 三島由紀夫 森田必勝 両烈士慰霊祭
【日 時】 令和元年11月23日 土曜日(祭日)午後1時(正午開場)
【場 所】 筥崎宮 参集殿(2階)
【会 費】 3,000円(学生1,500円)
【内 容】 慰霊祭・式典・記念公演・直会
【公演者】 中島淳一先生(演劇家)
【演 目】 『金色の炎 三島由紀夫没五十年に捧ぐ』
【主 催】 福岡憂国忌実行委員会(世話人団体・福岡黎明社)
※事前申込不要。先着順。

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