東京で憂国忌 小川榮太郎氏らが『春の雪』巡り討論

人生観
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平成30年11月25日、東京都千代田区の星陵会館で第48回憂国忌(三島由紀夫研究会主催)が開催された。

女優の松村英子氏と松村えり氏が『豊饒の海』第1巻『春の雪』から、その一節を朗読。

また、「『春の雪』を巡って」と題して有識者によるパネルディスカッションが行われた。登壇したのは小川榮太郎氏、富岡幸一郎氏、松本徹氏。司会は上島嘉郎氏(「正論」前編集長)が務めた。

評論家の小川榮太郎氏は三島由紀夫の『春の雪』について、「巨匠の至芸であり、世界最高の小説だ。40歳の若さでこれを書いたことに讃嘆の念を禁じ得ない。刊行当時、これは完全に遺書と思った。言語でつくれるのかという絶美だ」と絶賛。

三島研究家としても著名な松本徹氏は、「『豊饒の海』全4巻は三島にとって決定的小説で野心作だった。現代小説をひっくり返し、底を踏み抜く作品になった。西洋は実存の基礎をキリスト教に置いたが、三島はそれに反し、絶対的な「空」を設定して書いた。これは近代小説の否定であり、人間的豊かさの出現だ」と解説した。

文芸評論家の富岡幸一郎氏は、「三島は戦前の日本も否定しており、決して〈戦前回帰〉論者ではなかった。『春の雪』は単に男女の愛を描く恋愛小説ではなく、絶対の禁を侵すことに恋の意味を見出す〈恋闕〉小説だ。死が源泉になって〈みやび〉が現れている」と指摘した。

会場前に祭壇も

会場前の巨大パネル

三島の字による「行動」の旗

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