総合支援資金の手続きで社協に公開質問状

政治
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新型コロナウイルス感染症対策を原因とする経済的困窮者や事業者に対し、政府は様々な支援制度を設けている。その一つが選報日本でも紹介した「総合支援資金」の特例貸付である。

ところが、総合支援資金の申請手続きを巡って、担当する社会福祉協議会がミスを犯した。

同特例制度の「再貸付」が可能になったことを報道で知り、福岡市社会福祉協議会(以下、市社協)に電話で申し込みを行ったところ申請書類が郵送されてきたのだが、その書類が間違っていたのである。

こちらは書類の違いなどわかるはずもなく、必要事項を記入して返送。後日、市社協の担当者から電話があり「書類が間違っていたので再送する。記入し直して再提出するよう」指示された。

どう書類が違っていたのかというと、特例貸付の「再貸付」を受けるには、最初の貸付の後に「延長貸付」を受けている必要があり、私はその「延長貸付」を受けていないため、「再貸付」の書類では貸付できない、というものであった。

「延長貸付」と「再貸付」に額面の違いはない。ただ、申請書類の書式が若干異なるだけである。私は市社協の担当者にその場で抗議した。再度書類をやり取りすれば、貸付を受けるタイミングも遅くなるからである。

タイミングが遅くなることについて担当者はなぜか「どうせ審査に一ヶ月かかる」と開き直った。

けっきょく市社協は「上に確認して折り返す」と述べ、後日別の担当者(おそらく上司)から電話があった。担当者は「審査機関である福岡県社会福祉協議会に確認したが、やはり書式が異なるので受付できないとのことだった」と述べ、再手続きを求めてきた。

そこで、私は書類を書き直すことには同意し、今度は福岡県社会福祉協議会(以下、県社協)に次の公開質問状を送った。

質問(1):総合支援資金の「延長」と「再貸付」について申請手続き書類を2種類に分ける理由は何か?
質問(2):総合支援資金の「延長」と「再貸付」の審査に一ヶ月もの時間を要するのは事実か? 事実とすれば、その理由は何か?

上記質問に対し、県社協は以下の回答を返してきた。全文をそのまま転載する。

質問(1)について:
 今回の生活福祉資金特例貸付においては、昨年3月下旬(福岡県は3月23日から)に借入申込受付が開始されましたが、当初の貸付は、緊急小口資金特例貸付と総合支援資金特例貸付(3か月)であり、受付期間も令和2年7月末までとなっていました。
 その後、緊急事態宣言の延長やコロナ感染症の影響による経済回復が当初の見込みより遅れていることから、総合支援資金特例貸付の「延長貸付(追加3か月の貸付)」の実施(貸付対象者全員に直接案内)を国が定め、その受付期間も9月末、12月末、現在では令和3年3月末までと再々延長されています。
 また、令和3年1月からの緊急事態宣言再発令に伴い、生活福祉資金特例貸付の全てを借り終えた方で、引き続き所得の減収が続いている世帯の資金需要に応えるために、令和3年2月19日から総合支援資金特例貸付の「再貸付(新たに3か月の貸付)」が開始されました。
 3度に亘る受付期間延長に伴い制度設計も変更されており、仕組みが分かりにくくなっていることは否めません。特例貸付の借入申込書や借用書等の様式については、厚生労働省が作成していますが、特に総合支援資金特例貸付の延長貸付と再貸付の貸付要件である「自立相談支援機関による継続支援を受けること」に関しては、自立相談支援機関による状況確認の資料提出が必要であり、また初回貸付、延長貸付、再貸付の申請段階ごとに貸付金の総額も増え、借入者の負担も増すことから、申込に関する書類も異なっております。

質問(2)について:
 総合支援資金特例貸付の初回貸付、延長貸付、再貸付共に貸付審査と貸付金送金に要する時間は、基本的に同じです。
 福岡県においては、東京都、大阪府に続き、全国で3番目に借入申請者が多い県ではありますが、本会も職員を増員して対応しており、一日でもはやく貸付金の送金ができるように取り組んでおります。借入申請窓口である各市町村社会福祉協議会から本会に書類が届いてからの審査等に要する時間は、書類不備、記載内容不明等により、内容確認、書類修正や再提出で貸付審査に時間を要する方を除けば、一定に取り扱っています。
 ただし、感染者数が多い福岡市においては、受付窓口である福岡市社会福祉協議会に申請者が殺到し、新型コロナの集団感染が発生しないように特例貸付開始当初から厚生労働省の通知に従い、郵便で書類のやり取りを行っております。
 感染者が少ない市町村においては、通常どおり窓口面談方式で対応を行っており、それに比べると郵便方式の方が書類受け渡しに一定の日数を必要としておりますが、感染予防の観点から、市町村ごとに対応が異なる点に関しては、ご理解いただきますようお願いします。
 なお、現在のところ本会で借入申込書を受付けてから、特に貸付審査に問題が無いケースであれば、緊急小口資金特例貸付は1週間を目途に、総合支援資金特例貸付については2週間を目途に貸付審査と送金手続きを終えています。

新たに市社協から届いた「貸付延長」の書類を見ても、「再貸付」との違いはほとんどなかった。ただ、印刷されている紙の色が違ったくらいである。

細かい点で言えば、「貸付延長」には押印が必要で、「再貸付」は自署であれば押印不要になっていた。

その後、総合支援資金の特例貸付はさらに6月末まで延長されることになった。今後ますます「貸付延長」と「再貸付」の書類の違いによるミスが増えるかも知れない。

そもそも厚生労働省の制度設計が間違っているのだろう。

本山貴春

(もとやま・たかはる)選報日本編集主幹。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会事務局長。福岡大法学部卒(法学士)。CATV会社員を経て、平成23年に福岡市議選へ無所属で立候補するも落選(1,901票)。その際、日本初のネット選挙運動を展開して書類送検され、不起訴=無罪となった。平成29年、PR会社を起業設立。著作『日本独立論:われらはいかにして戦うべきか?』『恋闕のシンギュラリティ』『水戸黄門時空漫遊記』(いずれもAmazon kindle)。

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