夫婦別姓と男女共同参画社会に関係はあるのか

令和3年3月3日の参院予算委員会で、丸川珠代男女共同参画担当相(兼五輪担当相)がかつて「選択的夫婦別姓」の導入に反対する文書に署名していた件について、社民党の福島瑞穂党首が「なぜ選択的夫婦別姓に丸川さんは反対なのか」と7回続けて同じ質問を行ったことが話題になっている。

丸川大臣が「大臣として反対したわけではないので、反対かどうかの答弁はできません」と応えたことに対して一部野党が反発、質疑は4回中断したという。

野党側はいかにも「男女共同参画社会を推進する担当者である大臣」が、「選択的夫婦別姓制度」の創設に反対することが、大臣として不適格であることを前提としているようだ。このような指摘や追及は、論理的整合性があるのだろうか?

男女共同参画社会とは何か

男女共同参画社会について、法律では以下のように定義されている。

「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」
(男女共同参画社会基本法第2条)

まことに、ごもっとも。このような社会が実現することは大いに結構ではないか。わが国は男女共同参画社会実現のために、国家予算を充て、担当の国務大臣まで任命している。

では、その具体的な取り組みは何なのだろうか。

令和2年末に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画(説明資料)」を見てみよう。

まず冒頭に「新しい目標」として以下の項目が掲げられている。

・2030年代には、誰もが性別を意識することなく活躍でき、指導的地位にある人々の性別に偏りがないような社会となることを目指す。
・そのための通過点として、2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指して取組を進める。

この目標に基づき、11分野の具体的課題が列挙されている。公職や民間企業での女性登用促進や、女性が被害者となる暴力の根絶、貧困に対する支援など具体的だ。

通称使用と「夫婦別姓」

ここで注目すべきは第9分野「各種制度等の整備」だ。税制や社会保障制度見直し云々に続けて、「旧姓の通称使用拡大」と明記されている。

自身が戸籍名ではなく旧姓で政治活動を行なってきた丸川大臣も、3日の質疑で「通称使用の拡大はこれからも取り組んでいきたい」と述べている。現在大臣職にある丸川氏が、政治的に議論のある問題について大臣として答弁を避けたことは筋が通っている。

それよりも問題なのは、福島党首の「追及姿勢」ではないか。丸川氏が政治信条として「選択的夫婦別姓」に反対するのは自由である。この「反対」をもって「男女共同参画担当相として不適格」と言わんばかりの追及は、憲法で保証された「思想信条の自由」を侵害しかねない態度だ。

福島氏は質問の最後に「一般の人は通称使用するのも難しいんですよ」との見解を述べているが、だったら通称使用拡大を目指す「基本計画」の円滑な実施を求めれば良いだけのことではないか。

また、基本計画にある「指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指」す、という目標とも「選択的夫婦別姓」は関係があるとは思えない。福島氏は国会での限られた質疑時間をもっと有効活用すべきだろう。

「選報日本」編集主幹 本山貴春

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