丸山穂高議員への批判者が知らない、国際社会における領土問題の現実とは

丸山穂高議員は「戦争発言」で悪人にされた。戦後日本は戦争を犯罪と同じと見なし、全ての戦争を悪とした。これは国際社会の現実を無視した認識だ。

戦後日本社会には、自己が理解できることは正義で、理解できないことは悪とする単純な善悪論が蔓延した。

この「全ての戦争は悪である」という認識は誤りであり、国際社会の基準から戦争を見直すべきだ。そうしなければ竹島や北方領土(あるいは今後の尖閣諸島)の問題を理解出来ないし、領土奪還など不可能となるからだ。

戦争と政治

国際社会では「政治の延長として戦争があり、戦争は政治の一つ」と認識されている。つまり外交交渉で解決できないことは、戦争で解決するということが国際社会の現実である。

国家戦略 = 外交 × 軍事

国際社会では軍事と外交は表裏一体であり、外交交渉を行うために軍事力を背景にする。それは、外交交渉で解決できない問題は、軍事力で解決するということを意味する。

国内:秩序の中に生じた無秩序(秩序破壊行為)を警察が担当する。
 →善悪論

国外:無秩序の世界に軍隊が秩序をもたらす。
 →強弱論

国内では善悪論であり警察が担当する。しかし国外では自国の法律は適用できない。自国の法律は国内限定のものだからだ。仮に自国の法律を国外に持ち出せば、それは相手国の国家主権を否定する行為になってしまう。

国家主権(外交二権・国内三権)
 外交二権:外交・軍事
 国内三権:行政・立法・司法

国家主権の中身は外交二権と国内三権だ。国家主権の否定は独立の否定だから、相手国の人権を否定することになる。だから自国の法律は国内に限定して適用される。このことから、国外に持ち出せるのは「外交」と「軍事」のみ、となる。

領土問題の現実

現在の国際法では、「領土は実効支配している年数が長い国のもの」となる。国際社会は既成事実の積み重ねを優先する。

もし法的な証拠を持っているとしても、国際法は実効支配していることを優先する。そうしなければ世界中で戦争が絶えないためだ。歴史的経験則から、実効支配している国の領有権を優先している。これが国際社会の現実だ。

だから竹島・北方領土は、話し合いの年数が長くなればなるほど、実効支配(不法占拠)している年数が長くなり、竹島は自動的に韓国領土に、北方領土は自動的にロシア領になる。尖閣諸島も、もし中国の上陸・占拠を許せば同じ結果になるだろう。

外交交渉の話し合いで領土問題を解決することは良いことだが、話し合いには必ず「いつまでに決断する」のか期限が必要だ。もし話し合い自体が目的化すれば、領土は年数経過に合わせて韓国・中国・ロシアの物になってしまう。

韓国・中国・ロシアは、このことを知っている。だから日本との話し合いの継続を求めるのだ。日本人でありながら「期限無しの話し合い」を求めることは、日本の領土を捨てることを意味する。

国際社会では「政治の延長として戦争があり、戦争は政治の一つ」であるから、戦争を放棄すれば、竹島及び北方領土を放棄するということを意味する。これが国際社会の基準なのだ。

外交交渉の武器にしない謎

衆議院で糾弾決議を受けた丸山穂高議員は、「北方領土が話し合いで奪還できないならば、戦争で奪還するしかないのでは?」という発言をした。

これは政治の延長としての戦争だ。ところが丸山穂高議員は悪人として批判されている。

批判する日本人のうち、「領土は実効支配している年数が長い国のものになる」ことを知っている者がいるとすれば、これは売国行為といえる。批判されるべきは丸山穂高議員ではなく、丸山穂高議員を批判する者たちということになる。

さらに、話し合いで北方領土を奪還するにしても、北方領土に関する歴史的経緯を外交交渉のネタとして使わないことに疑問を持つ。一般的に、戦争は宣戦布告で始まり講和条約で終わる。

大東亜戦争の期間は宣戦布告(1941.12.8)から講和(1951.9.8)までの約10年間である。

宣戦布告:戦争の開始
 戦争=戦闘+占領
講和条約:戦争の終了

宣戦布告  :戦争開始(1941年12月8日)
 ↓
決定的敗北 :マリアナ沖海戦(1944年6月19日から20日) 
 ↓
仮休戦開始 :1945年8月15日(ポツダム宣言・条件付き降伏)
 ↓
休戦正式開始:1945年9月2日(ポツダム宣言・条件付き降伏)
 ↓
サンフランシスコ講和条約:戦争終了(1951年9月8日)・ここまで軍事
            :効力開始(1952年4月28日)・ここから外交

戦争は1951年のサンフランシスコ講和条約で終わった。この段階でGHQによる占領政策が終了となる。これにより、例えば旧宮家・大日本帝国憲法・内務省・日本軍が戦前の状態に戻るとしても、これは日本の自由だ。つまり領土も戦前の状態に戻る。

実は、北方領土は北方四島だけではない。南樺太・北方四島・全千島列島が本当の北方領土だ。南樺太と千島列島はサンフランシスコ講和条約でも正式な帰属先が定まっていない。

「帰属は定まっていない」

これを無視してはいけない。そもそも、サンフランシスコ講和条約にソ連は参加していなかった。であれば、ソ連が南樺太・北方四島・千島列島の主権を主張することはできない。

ソ連からロシアへの移行は単なる国家体制の変更ではない。ソ連は1991年に崩壊し、現ロシアは1991年に建国された。つまり現ロシアは、第二次世界大戦の戦勝国ではない。従って、ロシア政府が主張する「第二次世界大戦の結果を認めろ」発言は無意味だ。

旧ソビエト連邦:1991年崩壊
現ロシア連邦:1991年建国

要点1:サンフランシスコ講和条約の成立と帰属は定まっていない。
要点2:国家体制の変更で現ロシアは無関係。

日本がロシアと外交交渉をするならば、この二点を武器にすべきである。だが日本は外交交渉で使える武器を使っていない。もし外交交渉のみで奪還するのならば、当然使うはずの武器だ。丸山穂高議員の戦争発言を批判する前に、このことを理解すべきだ。そして今からでも、ロシアに対して交渉の武器にすべきであろう。

交渉で決裂すれば戦争

日本外交は話し合いそのものが目的であり、日本が有利になる交渉ネタすらも使っていない。これでは売国奴が正義となる。本来は自国に有利な「交渉ネタ」を用いて交渉するものだ。

この時、軍事力を背景に交渉することが基本で、それでも解決できない場合は戦争を選ぶことになる。

真に話し合いで解決するならば、上記の「交渉ネタ」をロシアと世界に突き付けるべきだ。これをしないことが問題だ。戦争云々を議論するのはそれからで良い。

上岡龍次(うえおか・りゅうじ)/戦争学研究家、昭和46年3月19日生まれ。愛媛県出身。九州東海大学大学院卒(情報工学専攻修士)。軍事評論家である元陸将補の松村劭(つとむ)氏に師事。これ以後、日本では珍しい戦争学の研究家となる。

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