令和元年9月11日、行橋市議会(福岡県)において小坪慎也議員が市有地の不法占有問題について議会質問を行った。小坪議員は当日トップバッターでの登壇が予定されていたが、質問開始前から議場は大荒れになった。
身内を庇うため? 野党議員が議事を妨害
まず、小坪議員の質問予告について自ら当事者であると名乗り出た、鳥井田幸生議員(市民の会)が議場を退席。
さらに、大池啓勝議員(無所属)と徳永克子議員(日本共産党)が続けて「議会運営に異議あり」として動議を提起。いずれも賛成少数により否決されたものの、動議を繰り返したことで議会は一時空転した。
一部野党が議会質問そのものを封じようとする異常事態に、傍聴に訪れた市民らも唖然となった。
市民の通報「異臭がする」→肥料の臭いだった
数十分後にようやく小坪慎也議員による質問が許可された。小坪議員の質問に対し、行橋市当局は「ある個人」による市有地の不法占拠が継続していることを認め、田中純市長が謝罪する事態となった。
市側の説明によると、鳥井田幸生議員による市有地不法占拠は近隣住民の「異臭がする」という通報によって発覚。臭いの原因は違法に作られた畑の肥料だった。
不法占拠の犯人は「市議会議員」
同地は平成27年に区画整備事業が完了し、周辺住民への売却交渉が行われたものの不調に終わり保留になっていたもので、鳥井田幸生市議が勝手に畑を作っていた。具体的な占有開始時期は市側も特定できていない。
同地について仮に売却していれば固定資産税が発生し、貸借契約していれば市に賃料が入る。しかし「公有地を個人が占有する」という異常事態のため、市としては追徴課税もできない。
小坪慎也議員は「占有しているのが市議会議員だから市有地を勝手に使える、と市民に誤解を与えかねず、管理責任は重大。区画整理のために引っ越した住民もいる。市民に犠牲を強いておきながら、杜撰な管理は許されない」と厳しく追及した。
市長は自らを処分へ/議会は調査委設置の方針
田中純市長は「市民の通報で(不法占拠を)知ったことは市の職務怠慢で失態。管理不行届であり、市民に陳謝する」「(市の責任をとって)自らを処分する方向で検討する」と答弁した。
行橋市議会与党会派は、鳥井田幸生議員による市有地不法占有問題に関して地方自治法98条に基づく議会の権限で監査委員会を設置するとしている。
(取材・文 『選報日本』編集主幹・本山貴春)
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▽行橋市議会によって動画が公開された