丸山穂高議員の国会発言録「自国のことは自国で守れるように」

国際
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北方領土へのビザなし渡航に参加し、酒席での議論内容について一身に非難を浴びている丸山穂高衆院議員。丸山議員を除名した日本維新の会は同議員への議員辞職勧告決議案について主導する動きを見せているが、本当にこれで良いのだろうか。

非公式な発言(それも主張ではなく質問)によって議員辞職勧告決議がなされるとすれば、前代未聞のことであり、「言論の府の自殺行為」という声もある。

そこで、丸山議員の過去の公式発言を国会議事録から追ってみた。「北方領土」「戦争」などのキーワードで検索し、質問の中で丸山議員自身の考えを表明している部分を抽出した。

戦争をしない我が国は情報戦が肝

平成25年11月20日 衆院・国家安全保障に関する特別委員会

「孫子じゃないですけれども、戦わずして勝つ、他国との中で戦争はしないというこの我が国の中で、情報戦こそが肝でございますので、インテリジェンス機能も含めまして、なおかつ、カウンターインテリジェンスの点である、正当な行為であってもスパイ行為に対して何らかのアクションをかけていくというのは非常に大事なところでございます」

切れ目のない防衛のために法改正を

平成27年7月3日 衆院・我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会

「ホルムズもいいんですけれども、政府の案は、切れ目がない、切れ目がないとおっしゃっている中で、我が国の離島の防衛、この部分について切れ目があるんじゃないかという話を、私だけではありません、民主党の議員さんの中でも、また与党の議員とお話をしている中でも、これが必要だという議員の声を多く聞きます。尖閣諸島での離島の防衛の話、小笠原でのサンゴ密漁対策、これらに対して、いわゆるグレーゾーン事態と言われる事態に対して、我が国の領土とか領海を守るために、これこそ法改正が必要な部分だと考えます。」

自国で守れることは国の基本

平成28年3月16日 衆院・外務委員会

「自国の防衛を自国でできるようになるべき、自国で守れるようにするべきかどうかという議論というのが、ずっとこの戦後の中で、日米安保の関係、そして戦後の歴史の関係の中で揺れ動いてきたのがこの国の防衛であって、一方で、それが現実として、いろいろな理由で、それはコストの問題もあります、今申し上げた歴史的な背景もありますし、何よりも現実的な極東の今の軍事情勢を見てみれば、残念ながら、我が国一国でという難しい地政学的な状況もあるから、いろいろな理由もあるだろうというのが私自身も考えるところなんです。」

「こうした中で、難しいというのはもちろんわかっています。しかし、自国のことは自国で守れるようにしていくんだという考え方、防衛のあり方というのは、国として基本の部分にあるべきものだというふうに私は考えるんですけれども、このことも含めて率直に、もちろん日米安保をないがしろにしろと言っているわけじゃ絶対ありません、基本的でございますし大事なところでございます。」

条約が破られる事態も想定すべき

平成30年4月4日 衆院・外務委員会

「残念ながら、国連が、常任理事国に拒否権がある関係で、有事のときに必ずしも機能するかどうかわからないというものが、現状の日本が囲われている状況でございます。」

「そうした中で、歴史を見ても、一番近いものだと、かつての戦争のときに、日ソ不可侵の条約が急遽破られて北方領土に侵攻してきたとか、同盟をいかに結んでいても、国際情勢の中であっと驚くような動きがあることも十分想定して国益を考えていかなければなりません。」

「根本の部分で、日米同盟を深化させていく、手を握っていくのは揺るぎないものだというのは根本にあります。しかし、やはりあらゆることを国としても考えていく必要があると思うんです」

北方領土の返還を心待ちにしている方々がいる

平成30年4月4日 衆院・外務委員会

「非常に難しくて、これは、いつもロシア側にこういった部分だけとられて、結局、日本が本当に望んでいる、日本の固有の領土である北方領土の返還に関する部分が全然進まないんじゃないか、プーチンさんに、ロシア側にしてやられているやんかという御意見もなかなか多い中で、しっかりこれは、結論を急ぐわけじゃないです、ただし、やはり心待ちにされている方々もいらっしゃいます。」

「外交問題、難しいのもわかります。しかし、結果がなければ、これは何やっているんだと言われるのが外交ですので、そういった意味で非常に重要だというふうに考えますが、この共同経済活動、こうした批判もある」

平時からサイバー攻撃に備えよ

平成30年5月30日 衆院・外務委員会

「サイバー攻撃を急にその場になってやるというのは非常に、特にDDoS攻撃なんかは難しくて、ふだんからマルウエアをいろいろなところにまいて敵はやってきますし、それに対して、限られたサーバーで対抗しても、有効な反撃になるのかというと、厳しいところがあります。」

「そう考えると、有事じゃなくて平時からある程度準備も考えておかなきゃいけないんですが、今の御答弁だと、場合によりますが、ひっかかる可能性があるということなので、この辺の整備も含めてしっかり整理と、あと、必要であれば、必要なので、今の戦争はもう完全に物理的よりもまずはサイバー攻撃からだと思います、ここを押さえられてしまったら、一番、被害が更に拡大する最初の点ですので、しっかりと、この辺、必要があれば法整備もお願いしたいというふうに思います。」

まっとうな防衛感覚を持った貴重な議員

上記の発言を読んで、読者はどう感じられただろうか?

私は、かなりまっとうな感覚の持ち主で、国会議員の中では貴重な人材であると感じた。今回の「事件」が起きるまでは名前を知っている程度でしかなかったが、このような国会質疑を行っていたということを知ることができて良かった。

自民党の中の保守系政治家はなかなか政権批判できないが、野党議員だからこそ政府に突っ込めることも多々ある。丸山穂高議員の存在意義は極めて大きかったと言えるだろう。

それだけに、丸山議員に対するバッシングは、反日国家群を喜ばせるものでしかない。

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『日本独立論: われらはいかにして戦うべきか? 』(独立社デジタル選書)
主な内容:なぜ私はネット選挙を解禁したのか/日本核武装論とパブリックリレーション/北朝鮮による拉致は侵略戦争である/国と地方の権力構造/互助共同体仮説 流血なき内戦を戦え/日本政治のポジショニングマップ/三島由紀夫は何と戦ったのか

本山貴春(もとやま・たかはる)独立社PR,LLC代表。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会副代表。福岡市議選で日本初のネット選挙を敢行して話題になる。大手CATV、NPO、ITベンチャーなどを経て起業。

本山貴春

(もとやま・たかはる)選報日本編集主幹。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会事務局長。福岡大法学部卒(法学士)。CATV会社員を経て、平成23年に福岡市議選へ無所属で立候補するも落選(1,901票)。その際、日本初のネット選挙運動を展開して書類送検され、不起訴=無罪となった。平成29年、PR会社を起業設立。著作『日本独立論:われらはいかにして戦うべきか?』『恋闕のシンギュラリティ』『水戸黄門時空漫遊記』(いずれもAmazon kindle)。

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