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大ヒット映画『銀魂』を観て明治維新なき日本を真面目に想像してみた

1868年にわが国では慶応から明治に改元された。2018年はその明治維新から150年ということで、いま維新への注目が高まっている。そんな中、「維新が起こらなかった日本」を舞台にする映画『銀魂』が若い女性を中心に大ヒットしている。

『銀魂』は週刊少年ジャンプに連載され、単行本の累計発行部数は5100万部を超え、度々アニメ化もされている超人気ギャグ漫画である。物語は、幕末の日本が白人ではなく宇宙人に侵略され、江戸幕府は宇宙人の傀儡政権として残されたまま、高度に文明化された社会の中で生きる市井の人々を描く。

史実では、幕末の日本は白人列強の脅威に晒され、止むを得ず開国に踏み切る幕府と、尊王攘夷を掲げる攘夷志士の間で内戦状態となり、攘夷派が勝って明治新政府を樹立、白人列強の侵略をかろうじて退けたわけだが、『銀魂』の世界では敵は圧倒的な文明を誇る宇宙人であり、攘夷志士の奮戦もあえなく占領されてしまうわけだ。

小栗旬演じる主人公の坂田銀時も、そんな攘夷志士の生き残りの一人である。映画の中でも顔は出てこないが重要人物である「吉田松陽」の弟子として、高杉や桂などと共に宇宙人の侵略に抵抗して戦った過去を持つ。吉田松陽のモデルはもちろん吉田松陰で、他の登場人物の多くも、実際の幕末における有名人をモデルにしている。

『銀魂』の舞台である架空の江戸では、庶民の多くは和装で、髷を結っている者も多い。一方で携帯電話などの文明機器もごく普通に使いこなし、空中に浮く戦艦で戦ったりもする。非常にアンバランスな世界観だが、そのアンバランスさが何とも言えず面白い。

原作やアニメでも登場人物たちはかなり際どいセリフを口にする。PTAなどが眉をひそめる部類の下劣なギャグ漫画と言って良いが、その暴走ぶりが映画でも遺憾無く発揮されている点は痛快ですらある。この作品を通じて、初めて幕末明治の歴史に関心を持った読者も多いのではないだろうか。

『銀魂』の世界の住人たちは、宇宙人に占領されているとはいえ、実に生き生きと暮らしており、その様子は能天気にすら見える。しかし一部には攘夷志士の残党がゲリラ的に抵抗を続けており、それが破壊活動に繋がることもある。主人公の坂田は、秩序を守ろうとする体制側と、秩序を破壊しようとする反体制側の間に挟まれながらも、自分なりの生き方を貫こうとするのである。

もし史実において、尊王攘夷派が破れ、しかも徳川政権が白人列強に屈服して日本列島が軍事占領下に置かれたら日本人はどうなっていただろうか。アメリカ大陸において先住民のインディアンは虐殺され、今はごく少数しか残っていない。欧州諸国に植民地支配されたアジア諸国において、有色人種のことごとくは奴隷扱いを受けた。まともな教育は受けられず、優秀な人物は却って迫害を受けることすらあった。

明治維新がない日本は、実際には『銀魂』の住人たちのように、安穏と暮らすことはできなかっただろう。アメリカの脅しに屈して通商条約に調印した江戸幕府と、宇宙人に屈服して占領を受け入れる『銀魂』の幕府はそっくりだ。

『銀魂』の支配者である宇宙人たちは江戸幕府を温存し統治させている。これは「間接統治」と呼ばれる統治形態である。間接統治の場合、国民の政治に対する不満は、委任されている統治者に向きがちだが、『銀魂』の世界でも攘夷志士と江戸幕府が抗争を繰り返している。

この『間接統治』は、明治維新から77年後の日本で実現している。GHQによる占領統治である。このとき日本政府は残され、占領期間中の憲法改正も国会の議決を経て実施された。いまの日本は、占領期間中に制定された憲法を一字一句変えることなく使用している。ということは、いまも目に見えない占領下にあるとも言えるのだが、『銀魂』の住人同様、日本国民の多くはそのことを意識せず、日々の生活に忙しそうだ。

もしかしたら『銀魂』は、幕末というよりも戦後日本を風刺しているのかも、というのは考えすぎだろうか。

(本山貴春)

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