【連載】コロナ革命(1)昔に戻ることはできない

働き方改革
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日本政府は沖縄県など一部自治体に出していた「蔓延防止等重点措置(マンボウ)」について、令和4年1月21日から拡大することを決定した。福岡県も独自の「警報」を発動し、飲食店などに営業の時間短縮要請を行う見通しだ。

「マンボウ」無くても飲食店に打撃

如実に変化が現れたのは、連休明けの1月11日だった。

福岡市内の居酒屋などでは、年末は忘年会を行う団体客で賑わい、復調の傾向を見せていた。それでも、コロナ禍より前とは比べるまでもなく、少人数での宴会に限られていた。

しかし正月明けから日本国内でも変異株(オミクロン株)が急拡大。1月9日の日曜日に広島県、山口県、沖縄県がマンボウ適用下に入った。当然ながら感染は3県に留まらず、全国的に感染者が急増し、「第6波」が確実なものとなった。

これにより、マンボウが適用されていない地域でも飲食店への客足が激減。一部店舗ではアルバイトの出勤を停止せざるを得ない状況に追い込まれた。それでもマンボウや緊急事態宣言がなければ、原則として行政からの支援は受けられない。

経済不況は全体に影響する

新型コロナウイルスは変異を続けており、感染力が強まる反面、弱毒化していると見られている。これに伴い、感染症に関する法律上の位置づけを引き下げることも議論されている。

岸田首相は17日の施政方針演説で、重症化リスクの高い高齢者や既往症患者を優先する医療体制へ転換する方針を示した。一方で、安倍政権や菅政権と比べて、岸田政権の経済対策には目新しさがない。

現在、世界的な原油価格高騰の影響で、日本国内の燃料価格が引き上げられ、その影響は物価高を引き起こしている。燃料高騰が物流コストを引き上げ、企業経営を圧迫していることで起こる悪性インフレだ。

それでなくとも、丸2年間のコロナ禍が飲食業をはじめとする第三次産業に深刻な打撃を与えており、その悪影響はあらゆる業種に波及していた。

「お祭り」もできない

福岡のある保守系団体は、毎年2月11日に開催していた「建国記念の日」を祝う集会を中止することにした。中止は昨年に続くもので、今回も開催まで1ヶ月を切ってからの中止決定になった。

福岡で最も有名な祭りである「博多祇園山笠」(毎年7月)も2年連続で中止されており、令和4年の開催については1月中に方針を決める予定になっている。もし3年連続の中止となれば、伝統の継承に深刻な打撃を与えることが予想される。

その他、営利を目的としないボランティア団体の多くは毎年の「総会」を2年連続で開催できておらず、日常活動にも制限があるため、団体存続の危機に晒されている。

一部の団体はネット配信等による活動への転換を模索しているが、役員や会員に高齢者が多い場合、活動の「オンライン化」も容易ではない。

共同体のあり方が問われている

今後考えられることは、「経済のさらなる悪化」と「個人の孤立」である。一部では、将来を悲観し自暴自棄になった若者が「死刑になりたい」などと言って無差別テロに走る事件も発生している。

産業革命と高度経済成長にによって、日本人にとっての共同体は農村から企業に変わった。しかしバブル崩壊以降、企業も共同体としての役割を担えなくなっている。

人は一人では生きていくことができない。既存の共同体が崩壊しつつある今こそ、新たな共同体の形成を模索する必要がある。もう「コロナ前に戻ることはできない」という覚悟を固めるべき時機なのだろう。

これから新連載「コロナ革命」を通じて、コロナ後にあるべき「新しい共同体」を模索していきたい。

(続く)

本山貴春

(もとやま・たかはる)選報日本編集主幹。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会事務局長。福岡大法学部卒(法学士)。CATV会社員を経て、平成23年に福岡市議選へ無所属で立候補するも落選(1,901票)。その際、日本初のネット選挙運動を展開して書類送検され、不起訴=無罪となった。平成29年、PR会社を起業設立。著作『日本独立論:われらはいかにして戦うべきか?』『恋闕のシンギュラリティ』『水戸黄門時空漫遊記』(いずれもAmazon kindle)。

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