事実上「逃げ得」?!不法滞在の外国人に甘すぎる日本の現状とは

日本は果たして、外国人に対して、「甘い」のだろうか、それとも「厳しい」のだろうか。また、当の外国人の眼には、国としても、また個人としても、我々日本人の彼らに対する態度は、どのように映っているのだろうか。本稿では特に、不法滞在の視点から論じることとする。

不法滞在は大きく二つに分類される。一つは不法入国である。これは、ビザが取得できる状況ではない中、文字通り不法な方法で入国し、滞在することである。

もう一つが不法残留である。こちらは先の不法入国とは異なり正規に取得したビザがあるものの、期間を超過して滞在している状態(いわゆる「オーバーステイ」)を指す。
 
法務省の直近のデータ(平成29年11月)によると、不法残留者の国籍・地域別の推移は下図のとおりである。

また、国籍・地域別、さらに在留資格別のデータは下図のとおりである。

<国籍・地域別>

<在留資格別>

ここで併せて下図の日本政府観光局(JINTO)のデータを提示したい。2017年(推計値)によると、訪日客数は2,869万900人と前年比19.3%増、韓国は中国と共に、初の700万人台に到達した。

2017年12月訪日外客数>


【出典:日本政府観光局(JINTO)】

不法在留者の国籍・地域別、訪日外客数で最も多いのが韓国、そして在留資格別で最も多いのが「短期滞在」となっている。

「短期滞在」の例としては観光客、会議参加等、期間は「90日若しくは30日又は15日以内の日を単位とする期間」であり、この3つのデータに関連性を見出さない訳にはいかないだろう。

では、不法滞在者に対する対処はどのようになっているのであろうか。

一般的に不法滞在が発覚した場合には、「退去強制」が命じられる。これは出入国管理及び難民認定法(入管法)に定められた行政処分の一つであり、文字通り、日本に滞在している外国籍の人を「強制的に」日本国内から退去させることだ。メディアなどでは「強制送還」「退去命令」などの表現が用いられることが多いようだが、「退去強制」が正式名称である。
 
ここでは、現在私が従事している技能実習制度を一例として挙げることとする。

昨今、技能実習生の失踪に関する報道が後を絶たない。インターネット上でも実習生の失踪、その後の不法就労を助長するような情報も見受けられる。 

正規に雇用されている実習生は、法に基づき、日本人社員同様、社会保険料、雇用保険の支払い義務が発生する。また所得税及び住民税については、中国人実習生のように日中間の租税条約に基づき、いずれの税負担も免除されている場合もあるが原則負担する必要がある。

しかし、違法行為だと知りながら社会保険料負担など各種義務を怠り、「安価な労働力」として失踪実習生を不法就労させている企業も、残念ながら未だに存在するようである。  

失踪した実習生が直ぐに検挙される可能性は極めて低い。仮に退去強制となっても本人が経済的損失を受けることは、ほとんどない。場合によっては、実習生の管理団体が帰国費用を出して帰国させなければならないのだ。

このように本人の金銭的な負担が少ないため、罪の意識もないまま失踪し、まさに「逃げ得」の状態が続いていると言えよう。

ここでは実習生を一例として挙げたが、実習生に限らず失踪を防止するための有効対策については、次のように考える。

すなわち、違法に彼らを斡旋し、不法就労させている企業はもちろん、失踪した上、さらに不法滞在の状態で不法就労を行っている彼らにも、罰則を強化しなければならないということだ。

言うまでもなく、日本は「法治国家」である。百歩譲って、ある外国人が、違法行為と知らずに(善意)であれば、その方に非はないと言えるのかもしれない。しかし、違法行為と知りながら(悪意)、甘言に唆されカネに目が眩んだ結果の行為であれば、厳然とした対処をすべきであろう。

労働を含め、外国人に対する我々日本人の姿勢が、今ほど問われている時はない。ただの「お人好し」は、もう終わりにしなくてはならない。

安部有樹(あべ・ゆうき)/昭和53年生まれ。福岡県宗像市出身。現在、外国人技能実習生を受け入れる管理団体に勤務するかたわら、社会的な問題解決のための提言を続けている。

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