第50回衆議院選挙が終了しました。今回の衆議院選挙に関して、私が関心を寄せていたのは、投票率と政党の成長率の二点でしたが、投票率に関しては前回と大差無しになりました。
つまり、大勢に変化はなかったのです。しかしながら選挙結果は、かなり大きな変化となりました。正直、政権与党が過半数割れしたのには驚きましたが、投票率に変化が表れない以上やはりコップの中の出来事なのです。今回は、コップの中の嵐ではなく、コップの中の大嵐となったというだけの話です。
ですから、政権与党がこれだけ投票数を減らしていても、野党第一党に投票が集まらず、政権交代が難しい状態になっているのです。すでに多くの方が指摘していますが、今回の選挙結果は与党への忌避反応の反映であっても、政権交代を望むものとは言い難いのです。
今回、私がこの選挙結果に思うことは、脱昭和の現象は着実に起こりつつあるということです。今回、自民党の行った総裁選から解散までのまでの流れは、かつてのクリーン三木誕生の故事に倣ったもので、時代の精神に変化が無ければ、これで乗り切れるはずのものでした。
しかし、それが全く通用しないどころか、更なる批判を引き起こすという事態に発展しているのです。選挙特番で野党の方が仰っていた、自民党の時代感覚は少しズレているのではないかとの指摘は非常に的確だと思いました。そして、このズレは今回議席を伸ばした野党第一党の立憲民主党にも感じるものです。
別の言い方でこの状態を表現すれば、両党ともに55年体制の維持派であり、同じコインの表と裏、プロレスのベビーフェイスとヒールということになります。刷新の風は吹きようも無く、55年体制というコップの中での風にとどまるのです。
もし、両党にこれからも自らのあり方に変化を加える気が無いのであれば、ちょうど振り子が右に振れ左に振れしながら次第に勢いがなくなり遂には制止するように、得票数の増減は両党の間を往復運動しつつ緩やかに減衰していくことになると思います。
これも、多くの方が注目されていますが、これほど野党に追い風が吹いたのに、その追い風の立役者の一人である筈の日本共産党が当選者数を減らし、政策の共通点が多い、新興勢力のれいわ新選組が大幅に議席数を増やしいているのは、脱昭和の象徴的事例の一つだと思います。
そして、今回大躍進を遂げ、一躍“時の人”となった国民民主党についてですが、この党については、今のところ一つだけ述べておこうと思います。私は最近大学で講義を行うこともありますが、教えていて感じる若者の空気感に一番近い空気感があるのはこの党です。では、その空気感とは何かということになりますが、これに関しては、語りたいことも多く、稿を改めて語りたいと思います。
しかし、投票率が低いことは本当に残念です。投票は民主主義における最も根源的な行為の一つだと思っています。自らの意見を自由に表明できることは素晴らしいことです。最近の一部権威主義国家の圧政・人権弾圧ぶりを側聞するたびに痛感します。
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