令和3年10月4日、発足した岸田政権。岸田文雄氏が自民党総裁選で提示していた公約集から、特に経済政策をフリーランスの視点で検証してみた。
▽政策の典拠は岸田氏の総裁選特設サイトに掲載されたパンフレットPDF。
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コロナ対策
来年春までを見通せる、家賃支援給付金・持続化給付金の再支給などの地域・業種を限定しない事業継続支援を事業規模に応じて実施。
非正規・女性・子育て世帯・学生をはじめ、コロナでお困りの皆様への給付金を支給。
コロナ禍を感染症だけでなく、経済危機として認識していることがわかる。
菅政権はコロナによる困窮世帯向けに30万円の支給を実施しているが、より広範囲に実施されそうだ。特に「事業規模に応じ」た事業者支援は野党も求めていたものだけに期待したい。
ワクチン接種によって感染症が収束したとしても、しばらくコロナ不況は続く。「数十兆円」と言わず、「数百兆円」規模で実施して欲しい。
成長戦略
10兆円規模の大学ファンドを年度内に設立。
科学技術振興のために政府が投資を行う。日本の科学技術振興予算は諸外国に比べても少ない。余計な「選別」をせずに、大盤振る舞いして欲しい。
投資・研究開発・人材育成など未来への投資を積極的に応援する大胆な税制を実現。
金融投資に関する減税(税控除)は現在もあるが、それを拡大するものと思われる。企業の内部留保や高齢者のタンス預金を動かす施策を期待したい。
5Gの早期展開など、地方におけるデジタル・インフラの整備。
テレワーク、自動運転など、デジタルの社会実装により、二地域生活を振興。
これは既定路線。「二地域生活」は都市と地方の2拠点生活のことで、過疎地対策として従来から政府方針になっている。
働き方と関係なく、充実したセーフティーネットを受けられるよう、働く方は誰でも加入できる「勤労者皆社会保険」を実現。
これは非正規雇用やフリーランスに大きく関係する。単に負担が増えるのであれば賛成しがたいが、何らかのセーフティーネットは必要なので、より詳細な政策案を提示して欲しい。
大企業に対し、長期的な視点から、株主だけでなく、従業員も、取引先も恩恵が受けられる「3方良し」の経営を強く要請。
下請取引に対する監督体制の強化。
フリーランスの多くは下請けなので、下請けイジメが規制されることは歓迎したい。ただ、上から圧力をかけるだけでは業務委託契約そのものが減っていく可能性もあるので、慎重な制度設計が求められる。
中間層の拡大に向け、分配機能を強化し、所得を引き上げる、「令和版所得倍増」を目指す。
看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士など、賃金が公的に決まるにも関わらず、仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を思い切って増やすため、「公的価格評価検討委員会(仮称)」を設置し、公的価格を抜本的に見直し。
「令和版所得倍増」は岸田陣営のキャッチコピーだった。このような目標を掲げること自体は重要であり、歓迎したい。ただ、池田勇人首相時代とは時代背景が全く異なるので、現代に合った政策フレームが必要だ。
教育政策
明治以来の一斉授業からICT(通信情報技術)を活用した個別最適な学びへと転換し、「誰一人取り残さない」「伸びる子はどんどん伸ばす」教育を実現
明治以来の義務教育は工場労働者を育てることが専らの目的であり、現在の産業構造に合っていない。これもぜひ推進して欲しい。
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