福岡県に3度目の緊急事態宣言が発令された令和3年5月12日より、福岡市役所前の「ふれあい広場」が終日封鎖されている。
福岡市中心部に位置し、全面に芝生が植えられ、ベンチも設置された3キロ平米もある広大なスペースは、週末はイベントスペースとして貸し出され、平日の日中はサラリーマンや親子連れが寛ぐ憩いの場でもある。
そんな都会のオアシスが、新型コロナウイルス感染症対策を名目に全面封鎖され、横切ることもできなくなっている。
しかし、新型コロナウイルスの感染は主に飛沫によって起こる。屋外では余程のことがない限り、感染のリスクは低いはずだ。一方、市役所の建物内部では多くの市職員がひしめきあうようにしてデスクワークに勤しんでいる。
また、過去2回の緊急事態宣言においても市役所前の「ふれあい広場」は封鎖されていなかった。
一体なぜ、突如として「ふれあい広場」を封鎖したのか、管理者である福岡市財政局に聞いた。
「警固公園を封鎖したから」
福岡市当局の説明によると、「ふれあい広場」封鎖に至る経緯として、そこから程近い「警固公園」の封鎖決定があったという。
「ふれあい広場」のある福岡市庁舎と、警固公園の距離は大通りを挟んで徒歩5分ほどだ。警固公園は百貨店などの大規模商業施設に囲まれ、「ふれあい広場」に比べても多くの人が集まる。
最近は飲食店の休業により夜間に若者が集まって酒盛りをするような事例も見られ、公園管理者である福岡市が全面封鎖を決定するに至った。
その際、警固公園を締め出された市民が「ふれあい広場」に移ることを警戒し、そちらも封鎖することを決めた、というわけだ。いかにもお役所らしい、事なかれ主義だ。
なお、市内の他の公園については福岡県や各区役所が管理しており、福岡市役所としては状況を把握していないという。実際に、警固公園や「ふれあい広場」の他に封鎖されている公園や屋外施設は見当たらない。
市職員の感染対策は?
前述のように、封鎖された「ふれあい広場」横の市庁舎内では多くの市職員が通常通り業務を行なっている。
屋外である広場を封鎖しながら、リモートワークをするでもなく通常業務を行うことは矛盾ではないかと指摘したところ、「市庁舎内は充分に換気を行なっています」との回答だった。換気を気にするなら、いっそのこと広場にデスクを並べて働いてはどうか。
いまのところ、広場や公園を封鎖したことによる市民の苦情は無いとのこと。今回の緊急事態宣言中は福岡市が管理するほとんどの公共施設が閉鎖され、市民は共有財産を使うことができなくなっている。
一日も早くワクチン接種が進み、正常に公共施設が利用できるようになることを願うばかりである。
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