ウイグル請願署名めぐり炎上騒ぎ「善意の5万筆」が無意味に?

福岡出身の看護師である「みるこん」氏こと今橋留美氏が発起人として集めた「ウイグル人権法」などの成立を求める国会請願署名を巡り、支援者の間でSNSが炎上する騒ぎになっている。いったい何が起こっているのだろうか。

そもそもの発端は、令和2年9月頃に今橋留美氏がTwitter上で請願署名の呼びかけを始めたことだった。

当初は10月末から開催される臨時国会中の署名提出を目指していたが、最終的に今年の通常国会中の4月28日に約5万名の請願署名として提出されるに至った。

この請願署名について、5月15日にウイグルを応援する全国地方議員の会幹事長を務める小坪慎也氏(行橋市議)が自身のブログで「不発に終わりそう」と指摘したところ、今橋氏が「何言ってらっしゃるのですかね、この方…」などと反発。

ウイグル人支援に賛同する人々の間で、異なる意見が入り乱れる騒動となっている。

そもそも、請願が「不発に終わる」とは、どういう意味なのか。

国会への請願は憲法で認められた国民の権利であり、紹介議員さえ確保すれば誰でも出すことができる。実際、今橋氏は2名の紹介議員(山田宏参院議員、中谷元衆院議員、いずれも自民)を得て、衆参両院へ提出に漕ぎ着けた。

衆参両院に提出された請願は、その内容に応じて各委員会に「付託」される。付託された請願文書は委員会に所属する国会議員に配布される。その後、委員会で請願内容が「審査」され、委員会で「採択」されれば国会本会議に提出、採決に至る。

その後、請願内容が立法化など何らかの政策実現に至るか否かは、内閣や国会議員の動き次第であり、国会本会議で運よく「採択」されたとしても、請願内容が実現するとは限らない。

小坪氏が「不発に終わる」と表現したのは、請願が「付託」で終わり、委員会で「審査」すらされないだろう、という意味だった。

自ら請願の効果を封殺

請願が委員会で審査されるためには、「紹介議員を20名にする」という方法がある。これは国会法に定められた要件で、確実に審査させるためには越えるべきハードルだ。

ところが今橋氏は、自らこの可能性を捨ててしまった。

というのも、与野党50名以上の国会議員を擁する日本ウイグル国会議員連盟(ウイグル議連)を通じて提出すれば、20名以上の紹介議員を集め、強制的に委員会で審査させることができたのだが、今橋氏は同議連に無断で提出してしまったのだ。

実は昨年10月の時点で、今橋氏はウイグル議連事務局長の長尾敬衆院議員に接触しようとし、同議連を通じて請願提出することを模索していた。その際、議連側は在日ウイグル人団体「日本ウイグル協会」を通じて議連預かりとすることを求めたため、今橋氏がこれに反発した形となる。

今橋氏が主導する署名活動については、日本ウイグル協会も協力していた。しかし何故か今橋氏は協会を通さず、ウイグル議連すらも通さずに請願提出に至り、「審査」「採択」の可能性を自ら狭めてしまったのだ。これで約5万筆の直筆署名は宙に浮く可能性が高くなった。

そもそも、請願内容に無理があった

実は、今橋氏が作成した請願署名そのものに無理があった。

ウイグル人の強制労働に関わる国内外企業への制裁、在日ウイグル人保護、中国政府への抗議、中国を非難する国会決議採択、ウイグル人権法制定など、一つ一つはもっともだが、複数の委員会にまたがる内容であり、どの委員会で審議すべきか判断が難しいもの(国会決議など)もある。

さらに、各委員会で審査に至ったとしても、「採択」されるには全会一致でなければならない。与野党入り混じる委員会で全会一致を実現するには、莫大な政治的エネルギーを要し、実現性はかなり低い。

実はウイグル議連関係者は、今橋氏に対して「国会への請願ではなく、首相官邸への請願」とすることを提案していた。しかし国会請願に拘る今橋氏は、自力で紹介議員を確保し、国会へ提出してしまった。

ウイグル運動への妨害か?

さらに悪いことに、今橋氏は国会への請願提出にあたって、何故か在日ウイグル人活動家のトゥール・ムハメット氏を帯同した。これが事態を一層混迷させる結果となった。

トゥール・ムハメット氏はかつて日本ウイグル協会に所属し、その世界では著名な人物だ。ところが運動の主導権争いや個人的なトラブルなどがあり、自ら協会を離脱、独自に「日本ウイグル連盟」設立を宣言し、会長を名乗るに至る。

このあたりの事情について協会側は公式コメントを発表しておらず、むしろトゥール氏に協会へ復帰するよう呼びかけているが、在日ウイグル人の間でトゥール氏は「好ましからぬ人物」とみなされているという。

トゥール氏の活動実態はともかく、国会議員側との公式な窓口になっている日本ウイグル協会ではなく、トゥール氏を今橋氏が国会へ同行させ、マスコミ取材を受けさせたことについて関係者は驚愕している。

「中国非難決議」の国会採択へ向けて大詰めとなっているこの時期に、このような騒動が持ち上がったこと自体、結果的にウイグル運動への妨害になったと受け取られても仕方ないだろう。

追記(6月16日)

6月16日に衆院は会期末を迎え、上記請願は「保留=審査未了」が確定した。請願は会期をまたいで審査されないため、当初の想定どおり「付託」止まりに終わる結果となった。

選報日本/編集部

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