三島由紀夫『午後の曳航』朗読会 三島由紀夫の国際性とは

昨年より始めた「三島由紀夫読詠会」ですが、3月で1周年を迎えました。今までにない新しい試みであり、いかなるものになるかと案じていたのですが、始めてみて本当に良かったと思っています。

詠み上げる三島由紀夫の文章の本当に美しいこと。目で読んで美しく、声に出して詠んでさらに美しい珠玉の名文の数々に、陶然たる思いになると共に、世代を超えての仲間達との語らいの楽しいこと。贅沢な時を過ごさせてもらっています。

2年目を迎える今回ですが、後期の傑作、「午後の曳航」を取り上げます。以下、多少のネタバレを含みますが、ご容赦下さい。

ロックミュージシャンのデビッドボウイが1972年に発表した畢生の大傑作、「The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars.(邦題 ジギースターダスト)」は、その出来栄えの素晴らしさに驚嘆しつつも、タイトルチューンのジギースターダストに出てくるフレーズ

子供たちがそいつを殺してしまったので、俺はバンドを解散せざるを得なくなった

が不可解な言葉でした。

ところが、後年、ボウイが、自分が選ぶ本3冊の中に『午後の曳航』を選んだとき、三島由紀夫とデビッドボウイ、両者を知る人間は、やっとこのフレーズが意味するところを理解したのでした。

ボウイは三島由紀夫の肖像画を自ら描くほどの、熱狂的な三島由紀夫ファンだったのです。

ボウイが描いた三島由紀夫像

しかし、改めてこの頃のボウイの風貌を見れば、彼が三島に愛された美青年、美輪明宏(当時の丸山明宏)を意識していたことは明白でしょう。

1976年、『午後の曳航』は美しい映画になっています。

この映画だけを見た方は、原作を日本人が書いた日本を舞台とした小説と聞けば、俄かには信じられない思いがするはずです。三島由紀夫の小説が、国際的な魅力を有することが良く分かります。

さらに、この「午後の曳航」は、後年の酒鬼薔薇聖斗事件を予見したとしか言いようのない場面が出てくることでも、こんにち有名な作品です。

絵画のように美しい海辺の風景と抒情、そして死と濃密な夜と血。三島ワールドの国境を越えた魅力と普遍性を味わいに来て下さい。三島の小説を読んだことがないという方、むしろそのような人にこそ、私達はここに来ていただきたいと思っています。奮ってのご参加お持ち申し上げております。

石原志乃武(いしはら・しのぶ)/昭和34年生、福岡在住。心育研究家。現在の知識偏重の教育に警鐘を鳴らし、心を育てる教育(心育)の確立を目指す。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会幹事。福岡黎明社会員。

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