米朝首脳会談を米国民はどう見ているか 会談に賛成するも成果は期待薄

米朝首脳会談が世界各国の注目を集めている。そもそも、当事者である米国市民達は北朝鮮やトランプ政権の対北政策について、どういう感覚を持っているのだろうか。今回は、各社の世論調査から、その実情を紐解いていきたい。

米国人の9割は北朝鮮が嫌い

まず全体像として、米国人の9割近くが北朝鮮に良い印象は持っていない。

昨年2月1日〜5日にかけて行われたギャラップの調査によると、米国人で北朝鮮に好感を持たない人は、全体の86%であった。

この不評がいかに凄まじいものかは、同調査団が行った「米国人の諸外国に対する好感率」という、20カ国が対象の統計に表れている。米国人が好感を持っている順にカナダ(92%)、イギリス(91%)、日本(85%)、気になる中国は50%、それ以降はロシアや中東諸国が連なり、北朝鮮への好意はなんと20カ国中最下位で11%だったのだ。

この結果だけを見ると、調査の時期から察するに、金正男氏が殺害された事件や度重なるミサイル発射等を受けてだと思われそうだが、2000年〜2002年の間の好感率を見てみても、23%〜31%の範囲内であり、元からかなり低いことがわかる。

ジョージ・W・ブッシュ政権時には、同氏が2002年1月の一般教書演説で北朝鮮、イラン、イラクの三か国を「悪の枢軸」と名指しで批判した影響もあってか、その辺りの時期を境に好感率は急降下、2003年には最低の8%まで落ち、その後は8%〜15%の間を行き来している状況だ。

米朝首脳会談への期待はまばら

それでは、この前提のもと、米朝首脳会談を米国市民達がどう見ているか、最新の統計を使って見ていこう。

まず、6月1日〜4日にかけて、900名の登録済み有権者に対して行われたNBCニュースとウォール・ストリート・ジャーナルによる共同世論調査を紹介しよう。

NBCニュースは調査結果を発表する際、「有権者が北朝鮮との対話で何を期待したら良いのかよくわかっていない」との見出しを付けた。

その記事によると、会談の行方を悲観視しているのは全体の36%である。

26%はトランプ大統領が交渉時に要求をし過ぎて合意を駄目にすると考え、一方10%はトランプ大統領が合意を得るために妥協し過ぎるだろうと考えている。

全体の31%は楽観的な見解をしており、17%が両者にフェアな合意が生まれる、14%がトランプ大統領は北朝鮮より自国に望ましい取引を確保する、と考えている。

残りの31%は状況を十分に知らず、意見を持てないそうだ。

従って、楽観的・悲観的・無関心で、それぞれほぼ三割ずつに見解が分かれているのがうかがえる(共和党/民主党の支持政党別に見ると、同じ質問に対し回答が変わるが、ここでは省略し、後述する)。

米国人の3/4は米朝首脳会談に賛成

次に、1ヶ月前にはなるが、CNNが5月2日〜5日に行った、無作為抽出法での国内世論調査を見てみよう。見出しは、「金正恩に会うトランプの計画に四分の三が賛成」となっている。

記事によると、会談決定に全体で77%の賛成が寄せられている。3月と比べて、15%の上昇である。更に民主党支持層だけで見てみると、3月は賛成が38%であったのに、5月には62%になっており、24%も上昇している。共和党支持層と無党派層でも10%以上の上昇が見られる。

トランプ政権の対北政策に関しては、53%が賛成、35%が反対とのことで、賛成が3月から10%アップしたそうだ。

北朝鮮が米国への大変深刻な脅威であるとの見方は47%と、10月の62%からは降下している。だが、イランやロシア、中国よりも、北朝鮮が、米国に対して、より大きな脅威であるとの見解を米国市民が持つ傾向にあることをCNNは同記事内で伝えている。

最後に、米国内ではかろうじて良識派であるFOXニュースの世論調査を紹介しよう。調査の対象は、無作為抽出法で選ばれた登録済み有権者1,001人で、6月3日〜6日にかけて行われた

記事によると、トランプ政権の対北朝鮮政策に関して、「北朝鮮がいずれ核を諦めるか」との問いに対し、諦めるが28%、諦めないが60%。3月の時点からは、諦めるが12%増加、諦めないが16%減少しており、10%程度の楽観視が増えたものの、6割が核放棄の可能性には未だ否定的である。

因みに、2年前と比べてみると、北朝鮮との戦争の可能性は低いと有権者は考えているようだ。33%が前よりなさそう、28%が前よりありそう、35%が前と同じとの回答をしている。

「トランプ大統領は金正恩朝鮮労働党委員長と会うべきか」との問いに対しては、会うべきが66%、会うべきではないが24%とのことだ。

また、自国に望ましい取引をするのはトランプ氏だと思うのが40%、金氏だと思うのが30%という結果も出ている。

先に挙げたNBCとWSJとの共同世論調査では、トランプ氏が自国に望ましい取引を確保すると思うのが14%に留まっており、この調査結果との間で差異が見受けられる。

そこで、NBC/WSJの共同世論調査において、支持政党別で同質問への回答を見てみると、共和党支持層では29%(ほぼ同率)がトランプ氏は自国に望ましい取引をすると考え、民主党支持層ではそう思うのは3%となっている。

この辺をどう読み取るかは、メディアの偏向報道の可能性をも含めてオープンに捉えたいものだ。

安定しているトランプ政権

各世論調査の紹介は以上だが、統計結果をまとめると、
①米国市民による北朝鮮への評価はどの国よりも低い、
②米国市民はかの国が米国への深刻で大きな脅威であると考えている、
③6〜7割の米国市民がトランプ氏は金氏に会うべきだと考えている、
④トランプ政権の対北政策には総合的に見て緩やかに賛成が増えている印象がある、
⑤会談の行方については見方にばらつきがある、といったところだろう。

さて、トランプ政権の対北政策に関して、米国内からの評価を見て来たが、これは同政権の数ある政策の一部に過ぎず、政権自体の安定が対北政策の遂行において重要であることは言うまでもない。

トランプ政権への米国市民の評価は、FOXニュースによると、総合的には安定しているとのことだ。

トランプ大統領の実績に関して、支持率は45%、不支持率は51%。4月時点では支持率が44%、不支持率が53%。僅かに支持が増えている。トランプ大統領の最高支持率は就任直後の48%だそうだ(2017年2月当時)。

具体的には、経済政策では支持が52%、不支持が41%、移民政策では支持が43%、不支持が52%、外交政策では支持が42%、不支持が49%、国際貿易では支持が41%、不支持が49%、とのことだ。

経済政策以外は不支持が上回っているものの、僅差で五分五分である。

米国のトランプ支持層は、中でもネット勢力が安倍総理とトランプ大統領の友情を様々なコラージュ画像にする程、日本の存在を大きく認識してくれている。

諸問題にかつて無いレベルで真っ当に立ち向かっているトランプ政権にエールを送りつつ、日本も傍観者にならず、本気度を見せてアクター(当事者)として動かなければならない。

randomyoko(ランダム・ヨーコ)/日米戦略アドバイザー。YouTube NextUp賞受賞。トランプ大統領の当選を予測したことで一躍有名になり、メディアにも取り上げられた。「正論」「JAPANISM」などの言論誌にも論文が掲載されている。公式ファンクラブ(camp-fire.jp)では毎月限定動画を視聴できる。

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