産経新聞社が発刊するオピニオン誌「正論」の10月号(平成29年)に衝撃的な記事が掲載された。『国際テロ対策/日本のお寒い事情…』と題したその記事は、東京五輪を前に、米国の対テロ専門家が鳴らす警鐘を伝えている。
記事を執筆したのは福岡県在住のビデオブロガー、ランダム・ヨーコ氏だ。ヨーコ氏は日本人としての主張などを主に英語で世界に発信し続けており、いち早くトランプ大統領の当選を「予言」したことで一躍有名になった。
正確には予言というより、日本人としてトランプ候補の支持を表明し、応援宣言を行ったわけだが、当時、トランプ候補の当選を予想する日本メディアも言論人も存在しなかった。なぜ彼女がいち早く「トランプ旋風に乗るべき」と判断できたのか。
ランダム・ヨーコ氏は英語圏への留学経験がないにも関わらず、独学でネイティブ並みの英語力を習得し、インターネットなどを通じて米国民の生の声を収集することができた。
わが国に入ってくる米国関連のニュースは殆ど全てが、米国マスメディアを介している。それら米国マスメディアの殆どが、民主党のヒラリー・クリントン候補を支持していた。
その結果、米国民の間にマスメディア不信が募り、情勢報道と実際の支持率は乖離していた。ヨーコ氏は持ち前の英語力と情報ネットワークにより、米国内の情勢を正確に掴んだのだ。わが外務省以上の情報収集・分析能力だ。
そして今回、ヨーコ氏が、「爆発物処理専門の米国退役将校」である友人から、テロ対策に関する最新情報を入手し、「正論」誌上に暴露したというわけだ。
以下、「正論」10月号から一部引用する。
要は、新しいタイプの爆弾を使ったテロに関する情報を速やかに共有することが、テロ対策にとっては最も重要なのだ。今や一国平和主義ではテロから国民の安全を守ることは出来ない。諸外国との連携なしには、安全を守ることが出来ない時代なのだ。ところが、日本の政治家にも、自衛隊や警察にも、そうした認識があるのかと言えば、かなり疑問だ。(正論10月号274頁)
文中の「新しいタイプの爆弾」について詳しくは「正論」を確認していただきたいのだが、東京五輪を前に、わが国が置かれている状況はかなり危機的だと考えた方が良い。前述の米国人専門家はヨーコ氏に、「イラクより東京が危険」と述べている。
ヨーコ氏は「正論」への寄稿後に福岡市内で講演し、米国の安全保障専門家等がわが国に対して抱いている「危惧」を赤裸々に明かした。そこで飛び出したのが「GHQベイビー」という新しい用語だ。
「GHQベイビー」とは何か。それは、愛国心を失い、今は亡きGHQ(米国を中心とする占領軍)を未だに崇拝する、左派系の日本人を指す言葉だという。日本の官僚や政治家は、危機が迫っても何も考えず、行動しない。それが「GHQベイビー」というわけだ。
GHQが敗戦後の日本を弱体化するために様々な政策を実施したことは、米国人の間でも広く知られている。ヨーコ氏と交流のある米国人の多くは、自立しようとしない日本に苛立ちが隠せないのだ。それが、「GHQベイビー」という言葉に現れている。
近年日本では欧州や米国のように大きなイスラム・テロが起きておらず、未だに安全神話が蔓延っている。しかし東京五輪となれば、世界中から観光客が押し寄せる。当然、テロリストも狙ってくると考えるべきだろう。その対策が、米国の専門家から見て全くなされていない。それは日本人が責任ある大人になりきれていないということだ。
わが国では「平和憲法」があるがゆえに何も出来ない、という思い込みがある。しかしそれは間違いだ、とヨーコ氏は断言する。テロ対策に予算をつけ、訓練を実施する。国際的な対テロネットワークに参加し、情報収集する。これは政府が決断すれば可能だ。
神社仏閣で液体が撒かれる事件などが多発しているが、これは「テロリストが日本の警備体制を試している」という対テロ専門家の見方もあるという。東京五輪を前に、国際社会はわが国の危機対策に注目している。
本山貴春(もとやま・たかはる)独立社PR,LLC代表。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会副代表。福岡市議選で日本初のネット選挙を敢行して話題になる。大手CATV、NPO、ITベンチャーなどを経て起業。