追悼 田村正和さん 日本で最後の「役者らしい役者」

俳優の田村正和さんが4月3日に亡くなっていたことが、各マスメディアの報道によりわかった。心不全だったという。享年77歳。謹んで哀悼の意を表したい。

私の年代(昭和57年生まれ)にとって田村正和という俳優は第一印象から「ベテラン俳優」というイメージが強い。しかしベテランかつ「二枚目」という、特異な地位を築いていた。男性が憧れる「男気」や「ダンディズム」を感じさせる、ほとんど最後の俳優だったかも知れない。

一番印象が強く、大ヒットしたのは刑事ドラマ『古畑任三郎』だろう。同作は三谷幸喜が脚本を務め、シリーズ化された。相棒刑事役の西村まさ彦さんとのコミカルなやりとりが絶妙だった。

野島伸司脚本のドラマ『美しい人』も傑作だ。美容整形外科医である主人公が、DV被害者の女性を自分の亡くなった妻と同じ顔にしてしまう話で、大人の異様で切ない恋愛模様が描かれていた。見ていてハラハラしたことを覚えている。

大ヒット作とは言えないが、個人的にドラマ『総理と呼ばないで』も忘れられない。以下は、選報日本に書いた過去記事からの抜粋だ。

『総理と呼ばないで』

1997年、フジテレビで放送。主演は田村正和。脚本を三谷幸喜が書いた、政治コメディである。

田村演じる「総理(固有名詞は出てこない)」は、世襲議員であり、密室談合によって内閣総理大臣に選ばれた。支持率も最低で、いつ退陣に追い込まれてもおかしくない。

史上最短任期の汚名だけは避けようと、官邸スタッフが奔走する。しかし本人には全くやる気も能力もなく、失敗を繰り返す。

しかし総理の仕事をこなすうちに、徐々に政治家としての自覚に目覚め、成長し、最終的には「政界の黒幕」に敢然と立ち向かう。

ちなみに舞台は日本ではない「架空の国」であり、日本に似ているが、違うのは軍隊を保有していることである。

某国から生きた蟹を送られ、実はそれはペットだったのだが、間違えて食べてしまい、「総理、戦争しますか。今なら勝てます」と側近が進言(?)するシーンがある。

プライベートでもダンディーだった

昔、あるタレントがテレビで証言していたのだが(詳細は覚えてない)、田村正和さんと新幹線で乗り合わせた際、田村さんは数時間ほとんど姿勢を変えず、トイレに立つこともなかったという。自身のイメージを損なわないようにしていたのではないか、と推量していた。

私はこの話を聞いた時、田村正和さんのことを凄い人だと思った。現代日本ではタレントであってもプライベートの部分を見せて、共感させるイメージ戦略が好まれる。しかし昔はそうではなく、俳優や女優というものは文字通り「アイドル=偶像」だったのだろう。

「男らしさ」「女らしさ」あるいは「役者らしさ」「アイドルらしさ」が否定される世相にあって、田村正和さんは「男らしく」「役者らしい」最後の一人だった。

本山貴春(もとやま・たかはる)選報日本編集主幹。独立社PR,LLC代表サムライ☆ユニオン準備委員長。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会事務局長。福岡市議選で日本初のネット選挙を敢行して話題になる。大手CATV、NPO、ITベンチャーなどを経て起業。著作『日本独立論:われらはいかにして戦うべきか?』『恋闕のシンギュラリティ』『水戸黄門時空漫遊記』(いずれもAmazon kindle)。

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