作家・安部譲二氏死去 三島由紀夫作品のモデルにもなった波乱の人生

令和元年9月2日、作家の安部譲二(本名・安部直也)氏が急性肺炎のため死去した。82歳だった。安部譲二氏のデビュー作は自伝的小説『塀の中の懲りない面々』(昭和61年)で、その後も刑務所や任侠をテーマにした作品を多く出してる。

安部譲二氏は三島由紀夫の娯楽長編小説『複雑な彼』のモデルとしても知られている。同作ではスチュワード(男性フライトアテンダント)の「宮城譲二」が主人公となっており、後に作家となる安部氏のペンネームはここから取られた。

少年時代に暴力団と関わり、そのことで高校進学ができず、父親に英国へ留学させられる。その後も行く先々でトラブルを起こしつつも22歳で定時制高校を卒業し、日本航空に就職。

その後も再び暴力団に関わりつつ職を転々とし、刑務所で服役することもあった。刑務所生活は国内外を含め8年間に及んだという。

昭和56年にようやく暴力団と絶縁し、59年に作家デビュー。61年に自身の刑務所生活を元にした小説『塀の中の懲りない面々』がベストセラーになったことで、人気作家の仲間入りを果たした。同作は翌年映画化(主演・藤竜也)もされている。

三島由紀夫とはゲイバーで用心棒をしているときに知り合い、安部氏が三島にボクシングを紹介したと言われている。『複雑な彼』は昭和41年に映画化(主演・田宮二郎)された。

三島由紀夫『複雑な彼』
角川文庫
森田冴子は国際線ステュワード・宮城譲二の精悍な背中に魅せられた。だが、譲二はスパイだったとか保釈中の身だとかいう物騒な噂がある「複雑な」彼だった。やがて2人は恋に落ちるが……。爽やかな青春恋愛小説。

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