「銃乱射事件の悲劇を政治利用するな」と米国保守派がメディアに反撃

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2月14日(現地時間)、アメリカのフロリダ州にある高校で17人が死亡する銃乱射事件が発生した。以後、犠牲者を弔う間もなく、この事件は銃規制問題と化し、米国で議論が活発になっている。

事件の生存者や犠牲者家族、保守派の勢力は、この事件が「政治利用」されていることや事件の本質が蔑ろにされていることに違和感や怒りを示している。今回は、その辺りを具体的に紹介したい。

まず、この銃乱射事件がどう政治利用されているかについて述べたい。

ラジオホスト・FOXニュースの番組司会者であるショーン・ハニティー氏はこうツイートした:

 サヨクはフロリダ州の悲劇を素早く政治問題化した・・・。

米国ではカウボーイ精神とも言える「自分の身は自分で守る文化」がある。広大な国土で警察を待っていられない実状もあるようだ。米国憲法修正第2条も、国民の「武器を保有し携行する権利」を保障している。

NRAのラピエール会長は22日、CPAC(保守政治活動協議会)で「いつものように機会に乗じようとする者たちが、政治利用のために悲劇に飛びついた」、「『欧州的な社会主義者たち』が銃規制を訴えている」、「法律が有効かどうかを彼らは気にしない。法律を増やして、人々をもっと支配したいだけだ」と述べた。

▽銃規制派は高校乱射事件を「利用」=全米ライフル協会会長(BBC)
www.bbc.com/japanese/43165462

「いつものように機会に乗じようとする者たち」とは、日本にもいるから興味深い。例えば、米軍兵士が暴行事件や訓練中の事故を起こしたとしよう。日本の左派勢力は即座にそれを一つの事件への抗議ではなく、「米軍撤退」という政治的スローガンの道具にしてしまう。自衛隊関係者が同様のことをしても「自衛隊」や安全保障の仕組みをバッシングする材料にする習慣がある。

国は違えど、今回の事件もまさにこういった具合なので、生存者や犠牲者家族たちはショックを隠せないでいる。

今回の事件を受け、トランプ政権支持団体でもあるNRAは酷く攻撃されている。そこで、ラジオホスト・テレビコメンテーター&司会者のローラ・イングラハム氏はこうツイートしている:

アメリカ人を守っている米国憲法修正第2条は、見事にへまをやらかしたのがFBIや地元警察だからといって侵害されるべきではない。

つまり、左派はNRAや銃の存在を悪者にする語り口を使っているが、実際はFBIや地元警察の問題こそが今回の事件の大きな原因だと指摘しているのだ。

事実、FBIはそう認めている。毎日新聞によると、米連邦捜査局(FBI)は16日、1月にニコラス・クルーズ容疑者の危険行動に関する通報を受けながら放置し、追跡捜査を怠っていたと発表した。容疑者の知人からの「学校で銃撃に及ぶ可能性がある」との内容で、適切に対応していれば事件を未然に防げた可能性もある。

▽FBI、追跡捜査怠る 危険行動の通報放置(毎日新聞)
mainichi.jp/articles/20180217/k00/00e/030/253000c

FOXニュースの政治コメンテーターであるタッカー・カールソン氏はこうツイートしている:

どのレベルの行政もパークランド大虐殺発生を許すという役割を果たした。我々が知っていた以上に大きな役割だ。その詳細はショッキングである。これまでにわかったことはこうだ・・・学校がしくじり、地元警察がしくじり、フロリダ州の官僚社会がしくじり、職務中の職員がしくじり、FBIがしくじったのだ。

元裁判官、検事で、現FOXニュースチャンネルの番組司会者であるジェニー・ピロ氏もこうツイートし、番組のオープニングを飾った:

FBIは完全に徹底した見直しと完全な浄化が必要だ。

因みに、銃規制推進派は今、銀行やレンタカー会社、航空会社、保険会社といった企業に対し、NRAとの関係を断つよう促している。

▽全米ライフル協会への優遇措置、撤廃する企業が相次ぐ理由(CNN)
www.cnn.co.jp/usa/35115279.html

この責任転嫁に関し、元アーカンソー州知事のマイク・ハッカビー氏はこうツイートしている:

いつの間に何があったんだ?FBIが犯人についての情報に基づいて任務遂行することに失敗して、無実の罪の子どもたち17人が銃撃で殺される間、フロリダ州の警官4人が校舎外に立って隠れていたから、臆病な企業らがNRAに罰を与えているとは。NRAメンバーの何人が銃乱射事件を起こした?ゼロ人だ。

私の父親はきちんとした器具を持つ前から心は消防士だったので、火事になった建物には飛び込んで行って命を救っていた。彼は決して消防車の中に座り込んで、人々が焼け死ぬのを傍観しなかった!だが、デルタ航空やエンタープライズ・レンタカー、その他の企業はNRAを責めるのか?説明しろ!

また、偏向報道もかなり問題になっている。特にCNNが同局のテレビ討論イベントで参加予定の生存者へ銃規制賛成の「スクリプト」を強要したとのニュースは話題だ。

とある生存者の父であるアンドリュー・クライン氏はこう証言している。

「(CNNの)プロデューサーは、特定の語り口をする気がある人たちを探していると遠回しに私へ言って来たんだ。」

「それはその悲劇を政策ディベートにすり替えようとしていて、私にはそれが銃規制のディベートだと思えた。プロデューサーは『我々は、未来の銃乱射事件を回避するために政策的合意を語りたい人たちを探している』と言って来たんだ。」

「私は共和党支持者だ。銃の所有者だ。責任感のある所有者なんだよ。なのに、銃規制を語るのか。私のような者から銃を奪うことではなく、銃を持つべきじゃない人たちや責任感のない人たち、社会的脅威からから遠ざけておくことについてじゃないのか。」

▽Survivors Say CNN Blocked Unapproved Gun Views for Town Hall(PoliZette)
www.lifezette.com/polizette/survivors-say-cnn-blocked-unapproved-gun-views-for-town-hall/

CNNのテレビ討論参加予定者の中には、同イベントで聞きたい質問を幾つか事前に提出したところ、プロデューサーに書き直されたと訴える者もいる。

生存者のコールトン・ハーブ氏は両親と共に身なりも整え討論会場へ向かったが、出演を断念せざるを得なかった。彼はテレビ取材に対し、こう答えている。

「僕は自分の質問をして、それに関する自分の意見を言えるものと期待していたんだ。」

「CNNは当初僕にスピーチと質問を書くように言って来たんだけど、全て結局スクリプト化されてしまったんだ。」

この取材によると、ハーブ氏は、学校の安全についての質問を用意し、退役軍人を武装した校内警備員とすることを提案していたものの、CNN側が同局作成のスクリプト上の質問をするように要請して来たので、これでは皆が聞きたい本当の質問が聞かれず、何も達成しないと出演を断念したとのことだ。

▽Shooting Survivor Quit CNN Town Hall After Refusing to Ask ‘Scripted’ Question(Breitbart)
www.breitbart.com/big-journalism/2018/02/21/shooting-survivor-quit-cnn-town-hall-refusing-ask-scripted-question/

米国でも左派による政治利用や問題のすり替え、責任転嫁、偏向報道、それらによる安全への脅威に頭を抱えている人々がいる。日夜激論がこのように繰り広げられているわけなので、同盟国日本の私達はその点をまず理解しておきたいものだ。
 

randomyoko(ランダム・ヨーコ)/日米戦略アドバイザー。YouTube NextUp賞受賞。トランプ大統領の当選を予測したことで一躍有名になり、メディアにも取り上げられた。「正論」「JAPANISM」などの言論誌にも論文が掲載されている。公式ファンクラブ(camp-fire.jp)では毎月限定動画を視聴できる。

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