救う会九州、新型コロナ対策で拉致被害者の早期救出を求める声明を発表

拉致問題
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令和2年3月9日、救う会全国協議会に加盟する九州各県の救う会が「救う会九州連絡協議会」名で緊急声明を発表した。救う会九州は毎年、福岡市において拉致被害者の早期救出を求める集会とデモ行進を開催しているが、新型コロナウイルス対策に絡み、すでに延期を発表している。

九州各県の救う会は今月7日、熊本市で代表者会議を行い、救う会福岡・佐賀・宮崎・熊本・長崎から関係者が出席した。

代表者会議では3月に福岡市で予定されていた集会を秋頃まで延期する方針を決めた他、「新型コロナウイルス感染症の世界的拡大が懸念される現在こそ、北朝鮮にいる拉致被害者を早期に救出せねばならない」と発信することで合意した。

救う会九州は9日付けで声明文を首相官邸と政府拉致対策本部に提出している。以下に、声明文の全文を掲載する。

新型コロナウイルス感染症対策に伴う拉致被害者救出の要請

令和2年3月、私たちは福岡市において「北朝鮮に拉致された日本人を救出する九州大会&国民大行進」の実施を計画していたが、新型コロナウイルス感染症によるパンデミック状況を鑑み、やむなく開催延期の決定に至った。

2月29日の首相会見において「大規模感染のリスクを回避するため、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベントについては、中止、延期又は規模縮小などの対応を要請」するとの言及があり、国会で新型インフルエンザ等対策特別措置法改正による緊急事態宣言の発出が議論される中、3月中の集会開催は不可能であると判断せざるを得ない。

目下、政府・自治体の総力を挙げて感染拡大抑止のために各種の施策に尽力されていることについては、心から敬意を表し、その方針を尊重したい。その上で、北朝鮮による日本人拉致問題は決して「不要不急」の問題ではなく、世界的パンデミック状況の現在こそ、政府が最優先に取り組むべき課題であることを指摘したい。

1月23日に中華人民共和国政府は同国湖北省武漢市の封鎖を宣言し、同月28日、日本政府は民間機をチャーターして邦人救出を実行した。以降、計5回にわたって邦人救出は行われ、外国籍配偶者を含む828人が帰国を果たした。感染症対策を理由とした邦人救出は前例がなく、政府の果断な処置を称賛する。

これまで救う会は、「家族会・救う会(全国協議会)」合同の運動方針に基づき「全拉致被害者の即時一括帰国」を求め、政府に対しその道筋を明示するよう要求してきた。そのためには北朝鮮に対する圧力を強めるとともに、「北朝鮮急変事態時などの緊急事態に備えて、救出プラン作成とそのための法的枠組み作り」を求めている。

北朝鮮における新型コロナ感染症の感染状況は全く不明であり、今後同国内に感染拡大しない保証はなく、同国内の食糧事情や医療体制を想像するに、日本人拉致被害者の健康と安全はこれまでになく脅かされていると考えなければならない。

警察庁が発行した『令和元年版警察白書』には「警察が把握している北朝鮮による拉致の可能性を排除できない方は、令和元年5月末現在、882人である」と明記されている。政府は直ちに、認定拉致被害者をはじめとする全ての在北朝鮮邦人を帰国させるべく、国家の総力を挙げて取り組むべきである。

無論、平和裏な邦人救出のために相手国の同意が必要であることは当然であり、中国政府と交渉したのと同様に、北朝鮮政府と交渉すべきであろう。また、感染症による「北朝鮮急変事態」が無いとは断定できない以上、同意を得られない場合の救出方法についても早急に検討し、対処せねばならない。

以上、政府に求める。

令和2年3月9日 北朝鮮に拉致された日本人を救出する九州連絡協議会

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