令和元年9月11日、安倍首相は第4次安倍第2次改造内閣を発足させる。夏の参院選以降、内閣支持率は高水準で維持(48%:NHK)されているが、10月1日の消費税増税が政権に与えるダメージは計り知れない。このタイミングでの内閣改造は、事前に増税ダメージを抑えたいという狙いも透けて見える。
自民のホープ、小泉進次郎氏:環境大臣
前情報によると、改造の度に入閣が取りざたされてきた小泉進次郎衆院議員(38歳)の環境大臣としての初入閣が決まったという。
最近、タレントの滝川クリステルさんとの「できちゃった婚」でもメディアを賑わせた。小泉氏は父親(小泉純一郎元首相)の七光りばかりでなく、爽やかなルックスと軽妙な弁舌によって国民的人気が高い。
サラブレットとして将来の首相候補の呼び声高いが、38歳での入閣は「戦後3番目の若さ」だ。小泉進次郎氏の初入閣は今回の内閣改造の目玉といって間違いないだろう。
麻生副総理と確執、武田良太氏:国家公安委員長
他、個人的に注目したいのが武田良太衆院議員(福岡11区)の国家公安委員長での初入閣だ。
今回の内閣改造でも安倍首相は麻生太郎財務大臣(副総理兼務)と菅義偉官房長官(拉致問題担当大臣兼務)の2人を内閣の要として留任させる方針だが、武田良太氏と麻生太郎氏は犬猿の仲。
この2人の対立によって自民党福岡県連は泥沼の内部抗争に陥っており、確執が閣内に波及する可能性もある。
保守派の重鎮、衛藤晟一氏:一億総活躍担当大臣
また、保守派の重鎮として知られる衛藤晟一参院議員(71歳)の一億総活躍担当大臣としての初入閣も決まった。
衛藤晟一氏は自民党の定年制度の適用除外という特例によって今夏参院選に全国比例で再選されていた。日本会議国会議員懇談会の幹事長であり、安倍政権では長きにわたって首相補佐官を務めてきた。
次は衆院解散、憲法改正も視野?
10月の増税を巡って、自民党内には「増税の悪影響が出る前に衆院解散を」という声が根強い。今回の内閣改造でさらに支持率が上がれば、解散風が強まる可能性も考えられる。
野党側は立憲民主党と国民民主党が統一会派を組むことを決めたが、世論の反応はいたって冷たく、総選挙に向けて準備が整っているとは言い難い状況だ。
また、安倍首相にとっても「悲願」ともいうべき憲法改正について、立憲民主党などの抵抗も強く国会内での審議が全く進んでいないが、安倍首相としては自らの政権での改憲発議を諦めていない。
来年2020年の東京五輪前後を見据えて、改憲への世論醸成を狙っているとも考えられる。
(『選報日本』編集主幹・本山貴春)